SankeiBiz読者のみなさんだけにCA(客室乗務員)がこっそり教える「ここだけ」の話。第83回はアジア系航空会社に勤務し、乗務8年目の幸田あかりがお送りいたします。
5週間の有給休暇も気兼ねなく取れてしまう
CAと言えば、「飛行機に安く乗れるの?」という質問をよく頂きます。たしかに安く乗れますが、「ゆっくり旅行に行けるくらいのお休みが欲しい」というのが多くの方の胸のうちでしょう。
その点で、私のおかれている状況は恵まれているかもしれません。私が勤める会社では年次有給休暇が25日間与えられているので、5週間連続でお休みを取ることも可能なのです。前年から持ち越した有給休暇と組み合わせて、2~3カ月連続で取得する人もいるほどです!
日本の企業だと病欠や忌引きなども有給休暇から差し引かれるところもありますが、ここは外資! 有給休暇とは別に、色んな休暇が別枠で用意されています。病欠、忌引きに加え、産休はもちろんのこと、入院休暇、結婚休暇、子供が体調を崩した時の休暇、養子縁組する際の休暇などなど一風変わった休暇もあります。
そして、オフィスで毎日同じメンバーと顔を合わせるのではなく、毎回、一緒にフライトするメンバーも変わります。誰がいつ長期休暇を取っていようとも、本人から聞かない限り知る由もありません。シフト勤務でもあるため、「周りに迷惑をかけちゃうかも?」といった心配もないんですよ。自分の好きなタイミングで、好きなだけお休みを申請することが可能です。
コロナの影響で今はまだ自由に旅行に行くことはできませんが、コロナ以前、会社の同僚たちはそうしてお休みを使って旅行を楽しんでいました。
「まとめて働く&まとめて休む」が私にはぴったり
私が勤める会社ではもともと、他の航空会社と違って比較的長期間にわたる滞在をともなうシフトが多く、拠点地である自宅を一度離れるとたいてい7~14日間のトリップがアサインされます。単純な1往復ではなく、色んな国をまわり、拠点地へ戻ります。そのため、最終的に自宅に帰ってきてからはほぼ1週間丸々お休みということも多く、普段から、有給休暇を取らずして旅行に行けたりします。海外在住であるにも関わらず、毎月のように日本の実家へ帰省することもできます。7~14日間のトリップ中も、現地に滞在する日数があるので、毎日休みなく働きっぱなしというわけでもありません。
私はもともと日本の某メーカーで働いていたので、この仕事に就いて、お休みが多くなったという印象でした。フライトの時は色んな国へ移動しているので、毎日仕事終わりに恋人や友達とアフター5を楽しむことはできないというデメリットはありますが、自分の時間が増えて、趣味や勉強に没頭できるので、個人的にはとても充実しています。
資格取得や副業もしやすいです。仕事の合間に別のビジネスをしたりしている人もいるんですよ! またこの仕事に就いてからは時間を見つけやすくなり、他国や他県に住んでいる友人とも定期的に会うことができるので、この仕事ならではの特権だなと感じています。
「会社ではみなイコールだよ」
私が勤める会社では男性クルーも多く、男女比は5:5と言っていいほどです。また会社のベース(CAの拠点)が色んな国にあるため、一緒に働くクルーは常に多国籍な編成となっており、日系企業と違って、先輩後輩といったセニョリティ(社歴)文化もありません。
入社当時、会社から言われたのは「日本人は大人しいけれど、ここでは思ったことは言わないと伝わらない」ということでした。また新人研修の時にマネージャーから言われたことは「ここでは、先輩とか後輩とか関係なく、みんな入社したらイコール(平等)だよ」でした。なので、フライト前のブリーフィング時には、社歴に関わらず、みな意見があれば積極的に発言しています。一人ひとりを尊重し、年齢や国籍、性別や社歴に関わらず、みなイコールである、というこの文化は私にとってとても仕事しやすいです。
そうした企業文化のせいか、仕事中の滞在地ではパイロットもクルーもみな一緒に出掛けたりするほど、仲が良いです。多くの航空会社ではパイロットとコミュニケーションを取ることは少ないと聞くので、他の航空会社から転職してきたクルーはびっくりしています。
CAの醍醐味 旅慣れた同僚たちと観光へ
滞在時間の長さによってどう過ごすかは変わってきますが、初めて訪れる場所だとだいたい観光に出掛けています。CAには旅行好きな人が多いので、色んな国に行けるのはこの仕事の一番の醍醐味です。そして、みな旅慣れているので、安心して一緒に観光に出掛けられるのも良いところです。
反対に、滞在先が何度も乗務で訪れている場所だと過ごし方も変わります。ホテルにあるジムで汗を流したり、マッサージで癒されたりと、比較的のんびり過ごしている人。趣味や勉強、副業に集中する人。先にご紹介したように、それぞれ「自分のやりたいこと」に時間を費やしています。
ただ、私の中で、どこに行っても共通しているのは新しくお気に入りのレストランを見つけること。とても楽しい趣味のひとつとなっています!
炊飯器持参も厭わず
フライトで自宅を長く離れていると気になるのは食事のことです。クルー用の機内食や各クラスで余った機内食を食べることができるので、みな好きなものを選んでいますが、ずっと機内食と滞在地での外食ばかり…というと身体のことが気になります。体調管理は常に万全でないといけないため、栄養があるものを摂るように気を付けています。
そこでフライト期間中、滞在地のホテルに着いて、真っ先に行くのが近くのスーパーです。人によっては簡易的な炊飯器や調味料をスーツケースに入れて持ち歩き、どこに行っても自炊をして、機内にも作った自前のご飯を持ち込んで、みなにお裾分けしているクルーもいます。色んな国籍のクルーがいますので、色んな国の料理が並び、みなで和気あいあいと食べている時間はとっても楽しいです。
滞在するホテルの部屋がキッチン付きか否かによっても購入する食材は変わってきますが、キッチンがない場合でも、アボカドやトマトなどサラダにする野菜とフルーツ、ヨーグルトはよく買います。
いかがでしたでしょうか? コロナの影響で海外旅行が自由にできるようになるまでまだ時間はかかりそうですが、旅行が大好きなみなさんと機内でお会いできる日を楽しみにしています。
【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら