「友達とはなんだろうか?」。新型コロナウイルスショックのあり方を考えてみよう。自分たちは、どのような友達とどう付き合っていくのか。
突然だが、「ヨッ友」という言葉をご存知だろうか。学校などで「ヨッ!」と声をかける程度の関係の友達だ。オンラインで開催されたインカレゼミ(大学対抗のゼミ発表会)で、他大生から教えてもらった。夏学期は完全にオンライン講義だったので、ヨッ友と会えないというのが彼の悩みだった。一方、彼は後輩のことを想っていた。「後輩たちは、ヨッ友ができないまま学生生活が終わるのではないか」と。
「ズッ友」という言葉もある。ずっと友達という意味である。神聖かまってちゃんの曲のタイトルにもなっている。ただ、コロナショックで、ズッ友と以前のように会えるわけでもない。
「本当の友達とは?」-。友達や友情をめぐる悩みは古今東西を問わず、青春時代のよくある悩みである。若者と話をしていて「『ONE PIECE』の麦わらの一味が理想の人間関係。でも、そんな仲間は僕にはいない」という声もきいた。10年くらい前にある大学の職員から聞いた話だが「僕に友達がいないのは、大学のせいだ」と言って泣きながら学生係に駆け込んできた学生がいたという。
その「友達」なるものの関係が実に多様化しているということを確認したい。親友、盟友、戦友、同志、畏友など、従来からある友人関係だけではないのだ。ヨッ友、ズッ友だけでなく、SNS上で知り合った、会ったこともない友だちというのも存在する。「男女間の友情は成立するか?」というのも、青春時代の永遠の悩みだが、セフレ、キスフレなど恋愛関係かどうかは謎であるものの、性愛の関係はあることを示す言葉も存在する。どれくらい一般的かというのは別として、地元の仲間こそ真の友達で、それ以外はそこそこの関係という割り切り方をする若者も何度も見かけた。
リアルな対面がプレッシャーに
コロナショックは、人間関係に影響を与える。基本的には、以前よりリアルな場で会いにくくなる。国境を超えた移動の難易度が極めて高い状態になっている。必ずしも規制されているわけではないが、国内移動ですらプレッシャーを感じる人もいることだろう。
人に会えないことが前提となると、友達の定義は劇的に変わる。よく「リアルな場で会って、時間を共有した友達こそ真の友達」という論がある。私自身は古い人間であり、この論を支持する派だ。ただ、これぞエゴそのものだと批判されるかもしれない。今年の新入生、新社会人の中には、このような人間関係を築けない人もいるからだ。むしろ、SNS上でつながっている友達がメインとなる可能性だってある。ただ、そのSNSにより友達を失うことだってある。コロナショックにどう向き合うかというスタンスが可視化されて、友人があまりに無防備であることや、逆に慎重になりすぎていることについて考えの違いに気づき、離れることだってある。こういう私も、コロナに関するSNS投稿をみて「この人とは距離を置こう」と思った人は、一人や二人ではないし、逆に私から離れていった人もいることだろう。
一方、コロナショックにより、飲み会などの誘いが減って、むしろ喜んでいる人も周りにいる。会いたくもない人、会っても同じ話ばかりする人にお金と時間を過剰にかけていたのではないか。
「友人分析」をしてみよう
コロナショックを受けて、友人関係をどうするか。立ち止まって考えよう。私は、友人分析をすることをオススメする。まず、黙って自分が把握しているすべての連絡先を眺めてみよう。スマホの連絡先、SNSでつながっている友人、年賀状のやり取りをしている人などだ。これらを眺めるだけでも発見はある。連絡をとる頻度、会う頻度、関係性などを考えてみよう。
その上で、自分が理想とする人間関係を考えてみよう。この答は簡単ではない。前提として、友達を値踏みすることに抵抗を感じる人もいるだろう。言い訳のようだが、私も値踏みをしているわけではない。ただ、言えるのは、自分にどのような友人がいてほしいかということだ。競い合うライバルも、刺激を受ける相手も、安らぎを感じる人も、昔話をする人も、それこそ飲みながらバカ話をする相手も、それぞれ必要だ。さらには、その人たちとどのような付き合い方をしたいかを考えたい。頻度高くリアルでも、ネット上でも接触を持ちたいのか、あくまでネット上だけでいいのか、それほど頻度高くなくてもいいのかなどだ。もちろん、これらは完全にコントロール可能なわけではない。ただ、まずは立ち止まって分析してみることが大事だ。現状がどうで、本当はどうありたいかを考えてみよう。
私に起きた変化
さて、コロナショックを経て、私の友人関係はどう変わったか。結論から言うと、あまり人に会わないことにした。これが私の変化だ。もともと年齢的なこともあり、人と会う気力、体力が落ちてしまった。1年半前に酒を一切やめたことや、子育ての事情もある。
また、SNSへの投稿の絶対数を減らすことにした。SNSに投稿すると、友人やそれ以外を含め、やりとりが増える。自分の時間を増やすために、優先順位を下げた。そもそも、仕事以外で自分から連絡をするという行為をほぼやめた。でも、自然な形で連絡をとりたい人からはメッセージが届くので、そのやり取りをするだけで心は満たされている。
一方、大きな変化は、近所に友人が住んでいる環境に身をおくことにしたことだ。大田区に引っ越しをした理由の一つは、近所に友人が多数住んでいるからだ。移動時間10分以内で会える友人が多数いる。これは大きな変化だ。会いたいときに人と会えることにより、心が満たされた。実際、楽しい近所付き合いをしている。ある意味、SNS登場以前の人間関係に戻ることができたとも言う。
なんせ、心と身体の健康が大事である。ズッ友との接点が減り、ヨッ友がいない生活で苦しんでいる若者がいることには心から同情する。一方、そもそも自分はどのような人と、どのような関係性で付き合いたいか。立ち止まって考えてみよう。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら