5時から作家塾

大副業時代でモデル活動が熱い注目を集めるワケ

吉田由紀子

 大副業時代と言われるいま、副業解禁はおろか、あえて推奨する企業も少なくない。新型コロナウイルスの影響で経済の先行きが見通せないこともあり、副業を始める人が増えている。

 そんな中、注目を集めている副業がある。それはモデル。

 モデルと言えば、容姿端麗で厳しいトレーニングを積まなければできない仕事。そう思われがちだが、いまや普通の人がモデルとして働ける時代になっている。

 看護師の大原茉莉奈さん(27)は、昨年から休日にモデルとして働いている。SNS広告に出演したり、MCを担当したりするなど多彩な活躍をしている。

 「小さい頃からモデルになりたいと思っていましたが、挑戦する機会がなかったのです。それが、あるサービスに出会い、副業としてモデル活動ができることを知りました。看護師の仕事はハードな側面がありますが、モデル業でストレスを発散できるので、本業もリフレッシュした気持ちで働くことができます」と話してくれた。

 OLの吉田早織さん(29)は、大手企業で企画職として働くキャリアウーマン。モデルの副業だけで年間100万円以上の副収入を得ているというから驚きだ。

 「学生時代に美容院のサロンモデルをやっていたのですが、入社したのが副業できない会社でしたので、やむなく休止していました。4年ほど前に副業が可能な会社に転職したのをきっかけに、活動を再開したところです。私は副業としてモデル活動をしているというより、将来、何らかの事業を始める場合を見据えて、自分を磨いて発信するためにモデル業を行っています」

 本業を持っている事でメリットも

 彼女たちが利用しているのが、「週末モデル」というマッチングアプリである。文字通り、本業を持ち、休日などの空いた時間にモデルとして働きたい人とクライアントを結ぶサービスである。現在約5000名のモデルが登録しており、多方面で活躍している(数字は9月1日現在)。

 なぜ、このサービスを始めたのか? 週末モデルを運営する株式会社モノクロム代表の筒井まことさんに聞いてみた。

 「企業の広告宣伝の手法が以前とは大きく違ってきたのが理由です。潤沢な費用をかけて人気タレントを起用するような従来型のCMだけでなく、WEBサイトやSNSなど、発信メディアが多様化、細分化されてきました。そのため、媒体に合ったモデルを起用したい、より親近感がある等身大のモデルを使いたいというニーズが高まっています。そのため、弊社への依頼が増えている状態です」(筒井さん、以下同)

 本業を持っているメリットもあるという。

 「例えば、看護師さんなど医療系に従事している人ですと、作業の手順をわかっているので、的確な撮影ができます。マタニティ服の宣伝でも、本物の妊婦さんを使う方が、ちょっとした仕草をリアルに表現できるのです。4000名を超すモデルが登録していますので、細かいニーズに応えられるのが週末モデルの強みだと考えています」

 副業といえば、目的は収入だと思われがちだが、実はそうではないとも。

 「お金のために働く方は意外と少ないですね。しっかりした目標を持って、そのために自分を磨きたい、キャリアアップをしたい。そんな方が多いです」

 週末モデルは、登録から報酬の支払いまでアプリで完結するのが特徴である。まず、アプリ上で仕事を検索して、興味ある案件があれば応募する。あらかじめ登録しておいたプロフィール、写真によって、クライアントは選考していく。仕事が確定した後は、クライアントとチャットでやり取りして準備を進め、撮影当日に臨む。こういった流れになっている。

 「モデルさんに安心して働いてもらうために登録企業に関しては厳正な審査を行っています。まず法人であること、また、アダルト系は一切受け付けていません。チャットのやり取りも違法行為やパワハラなどがないよう、運営側が常に監視しています」

 広告宣伝の手法が変化、手の届く職業へ

 この週末モデル、依頼する企業側にも評判が高い。その一つ、女性向けのキャリア支援事業を展開する株式会社LiB(リブ)にも取材をしてみた。

 「先日、弊社のコーポレートサイトをリニューアルしたのですが、その際、初めて週末モデルを利用しました。以前はレンタルフォトを使用していたのですが、他の企業と同じ写真になってしまうことがあり困っていました。そんな折、週末モデルを知り登録してみたのです。3日間で50名もの申し込みがあり、反響の大きさに驚きました」と話してくれたのは、広報部の岡田麻未さん。

 「若手や育児中の社員、幹部職などいろいろなパターンの写真を使用するプランでしたので、よりリアルで、こちらの意図に沿ったモデルさんを起用したいと考えました。結果的に4名の方にお願いしましたが、どなたも積極的に取り組んでくれて、良い撮影ができたと思います」

 気になる費用は、モデル1人あたり2万円だったそうだ。従来のモデルプロダクションと比べれば、格安だと言える。

 未経験から始める人も多いため、週末モデルでは、初心者向けのセミナーを開催している。

 プロのモデルを講師に招き、撮影のポイントや魅せるポージングをレクチャー。終了後にはモデル同士の交流会を開いて、情報交換などを行っている。参加したビギナーの女性は、「モデルは初めての経験で不安でしたが、楽しく学ぶことができ、自信がついたと思います」と話してくれた。

 モデルというと、昔は華やかで手の届かない職業だと思われていた。しかし、時代とともに広告宣伝の手法が変わり、ニーズの多様化、細分化が進んでいる。クライアント側も等身大で個性的な人材を求めているのが現状だ。興味のある方は、この機会に副業モデルを始めてみてはいかがだろうか。(吉田由紀子/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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