働き方ラボ

就職・転職活動を効率的に進めるスマホ「フル活用術」

常見陽平

 新しいiPhoneが発表された。明日、23日には店頭に並ぶ。悩んだ末にiPhone 12 Proの256GBモデルを予約した。2年間XS MAXの256GBモデルを使用していたが、子育てをしているとポケットからの出し入れがしやすいことが大切であり、自宅にいる期間が長くなり何かを閲覧するときにはiPadやPCを使う機会も増えたので、サイズダウンを決断した。もっとも、12シリーズはベゼルをさらに薄くしており、画面のサイズが5.8インチから6.1にアップしており、XS MAXから乗り換えても劇的なサイズダウンにはならない。写真はきれいにとりたいのでPro一択だった。届くのが楽しみだ。

 さて、iPhoneにせよ、アンドロイドにせよ、スマホは就職・転職活動に便利だ。最近は各種求人アプリも充実している。求人サービスも10年近く前からAIやビッグデータを活用し、ベストなマッチングを実現しようとしているし、自ら応募するだけでなく、スカウト型のものなども広がりを見せている。

 ただ、このような求人サービスだけでなく、ベーシックなアプリを使いこなすだけで、就職・転職活動は劇的に進化する。しかも、スマホが普及してかなりの時間が経つのに、その活用法はマニュアル本にはいまだに反映されていない。本が売れない時代になっているし、この手のノウハウはネットに移行しつつある。ただ、ネット上の就職・転職ノウハウにおいても、スマホの活用術はまだまだ反映されていない。

 コロナショックを受けて、転職を考える人もいることだろう。気の早い話だが、2022年卒の就活も事実上スタートしている。スマホを活用した就職・転職のコツを考えてみよう。

 自己分析に効果発揮 スマホの「写真アルバム」

 私がオススメするのは、写真アルバムだ。これをフル活用することによって、自己分析も効果的に行うことができるし、新卒のエントリーシートも、中途採用での職務経歴書も驚くほど楽につくることができる。

 自己分析の手法として「自分史分析」や「ライフラインチャート分析」というものがある。どちらも自分のこれまでの歩みを振り返るという点では共通している。前者は自分のこれまでの歩みを年表に書き出す。後者は歩みを振り返りつつ、自分の気持ちの浮き沈みなどを記述する。この手法がNGだとは言わない。書き出すことによって、自分の歩みを棚卸しし、意味づけするということには意味がある。ただ、写真アルバムを活用すると、これを効率的に行うことができる。今までにとった写真を見返してみる。これにより、自分のこれまでの歩みや、成功・失敗体験、大事にしていたことなどを振り返ることができる

 iPhoneの場合、時期・場所などでソートをかけられる。これが、新卒のエントリーシートで「学生時代に力を入れたこと」を書く際にも、職務経歴書で自分が取り組んできた仕事をまとめる上でも便利である。新卒のエントリーシートでは、「頑張ったこと」に関する写真を貼り付けることもできるが、その「お宝写真」「勝負写真」を探す際にも使える。学校、職場、アルバイト先などの場所を指定して写真を検索できるのも便利である。iPhoneの場合、写っている人を検索することも可能だ。自分の写真はもちろん、一緒に何かを取り組んだ人を軸にして写真を探すこともできる。

 この写真だが、とにかくパラパラと眺めるだけでも有効である。単に思い出を振り返るだけではない。エントリーシートや職務経歴書にいかにも書きたくなる成功体験だけではなく、日々大切にしていたこと、忘れていた想いなどを棚卸しすることができるからだ。このような「なんでもないようなこと」に、適職発見のヒントがある。私はこれを「THE虎舞竜 ロード理論」と呼んでいる。なお、この理論は、企業が自社の魅力を抽出するのにも当てはまり、私は人事担当者向けのセミナーなどで紹介すると、30代後半以降の人は大きくうなずき、納得する(若い人にはだんだん通用しなくなった)。

 業界・企業研究はググらない 時代はプラットフォーム検索

 次に情報収集である。業界・企業研究にスマホは便利だ。もちろん、求人サービスや、各種ニュースサイトは使えるのだが、ここは切り口を変えてみよう。10数年前、当時のネットスラングで「ググレカス」というものがあった。Googleで検索して調べろ(それからモノを言え)という意味だった。ただ、数年前から言われるようになったのは「ググってもカス」である。検索結果が膨大になっているし、検索対策が過度に進んだがゆえに、最適な情報にたどり着きにくい状態になった。

 ここでは、検索の対象をかえてみよう。これは就職・転職活動の情報収集に限らないが、あえてGoogleで検索しないのがポイントだ。TwitterやYouTubeを活用し、企業名などで検索することをオススメする。それぞれアクティブなプラットフォームなので、最新の情報が転がっている。YouTubeの場合、経営者や社員のインタビューが投稿されていたりもする。移動時間の情報収集にピッタリである。

 エントリーシート、職務経歴書の下書きを作成するのにもスマホを活用したい。各種メモアプリやクラウドツールを活用し、あいている時間に下書きをする。キーボードによる入力より、スマホのフリック入力の方が早いという人もいることだろう。さらに、音声入力を使う手もある。キーボードよりこれらの入力の方が早く、しかもアイデアレベルのことも記録しておくことができる。これをPCなどで編集しよう。なお、書き溜めたものは面接の前に読み返すなどという活用も可能だ。

 オンライン面接も定着しつつある、今日このごろ。来春入社の新卒採用においても、経団連企業の約6割が最終面接までオンラインで完結したという。この練習にもスマホは便利だ。カメラの自撮りで練習すると、自分の言動や姿勢を簡単にチェックできる。友人・知人とZOOMなどで練習することも可能だ。

 新しいiPhoneを買うあなた。スマホのフル活用で納得内定を。

常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

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