伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。
第24回は「休み明けのストレス対処」がテーマです。休み明けは出社するのがだるい、気分が憂鬱になるなど、気分が落ち込んでしまう人もいるかも知れません。そうでない人も、新年を気持ちよく過ごすためにストレス対処について確認してみませんか? どのような対処法があるのか。効果や注意点なども併せてご紹介します。
あなたはどのタイプ? 6つのストレス対処パターン
「休み明けに会社に行きたくない」という人は、普段から仕事や人間関係でなんらかのストレスを感じている可能性があります。どんな職場にも多少なりともストレスはあると思いますが、問題はそのストレスの程度と対処法です。普段、みなさんはどのようにストレスに対処しているでしょうか。代表的な6つのタイプと、注意点を見ていきましょう。
- 1.問題フォーカス型
- ストレスの問題となっていることを解決しようとするタイプ
- 《例》やらなければならない仕事が溜まっていてストレスになっているとき、その仕事を片付けようとする
- 2.感情フォーカス型
- 辛い気持ちを整理しようとする、もしくは心の奥にしまって影響を受けないようにするタイプ
- 《例》失恋したことがストレスになっているときに、思い出さないようにする
- 3.切り替え型
- 捉え方を変えて、気持ちを楽にしようとするタイプ
- 《例》会社に行くことがストレスになっているときに、会社の近くの美味しい店でランチを食べようと考える
- 4.支援型
- 人の力を借りて乗り切ろうとするタイプ
- 《例》仕事がうまくいかないことがストレスになっているときに、先輩に相談してアドバイスをもらう
- 5.気晴らし型
- 趣味、レジャー、好きなことで気分を紛らわせようとするタイプ
- 《例》仕事にストレスを感じているとき、帰りに酒を呑んで発散する
- 6.我慢・先延ばし型
- ストレスになっていることを我慢する、もしくは対処を先延ばしにするタイプ
- 《例》やらなければいけないことがストレスになっているときに、後でやろうと先延ばしにする
皆さんは、普段どのストレス対処法を使うことが多いでしょうか。「ちょっとした仕事のトラブル」といった、解決が比較的容易なものであれば、問題フォーカス型が選ばれることが多く、「親しい人が亡くなった」というような解決が難しいものであれば、感情型や気晴らし型などが選ばれることが多いと言われています。いくつかを組み合わせて乗りきっている人もいると思います。
問題フォーカス型はやっぱり疲弊しやすい
職場では、問題フォーカス型のストレス対処法をとるべきだというような風潮があります。特に正月明けは、新年ということもあり、根本的な問題に取り組もうという気持ちになる人も多いかも知れません。
しかし、問題フォーカス型の対処は、負担感や人間関係にもよい効果がある反面、疲労などのコストも多くかかる選択です。正月休み明けに、もし憂鬱な気分を感じた場合、気力と体力が必要な問題フォーカス型の対処を目指し過ぎないようにしましょう。
年末年始は普段以上にアルコールを摂取する機会もありますし、親戚付き合いなど地味に疲弊するイベントもあります。今年はコロナの影響により親戚で集まるといったことも減ったと思われますが「ボーナスが減った」「出かけられない」「将来が不安」など、例年に比べ気持ちが沈みやすい要素は多いはずです。
私たちは急激な心身の変化には気づくものの、じわじわと長期に渡って変化しているものには気づきにくいという特性があります。環境の変化、自粛など心の疲れは蓄積していませんか?
この休み明けは、自分が思っている以上に、心身に不調をきたしてしまう可能性があると考え、少しずつ調子をあげていくようにしてみてください。具体的な方法をご紹介します。
モチベーションは無理に上げなくてもいい
人間ですので、前向きになれるときばかりでなく、ついついネガティブな気持ちになってしまうこともあります。憂鬱な時にも大きな成果を上げようと無理をして失敗するよりは、憂鬱な時でも少しずつできることが増やすことを目指してみましょう。
お勧めなのは、「低い目標を2つだけ決める」という方法です。休み明けはやることが多いと思いますが、その中で最低限必要なことを2つだけ書き出してみてください。「とりあえず出社する」といったものでも構いません、できたらチェック印をつけて、自分を褒めてあげてください。
自己統制にはエネルギーが必要です。休んでいた状態から仕事を始めるというのは、思いのほかエネルギーを使います。“自己統制エネルギー”が足りなくなりやすい状態で無理をしないよう、少しずつ様子をみましょう。普段からToDoリストを作っているという人も、出勤初日はタスク2つまで、翌日は3つというように、3~4日かけて通常運転に戻るようにするとよいでしょう。
正月休み明けは「身体に優しい気晴らし」を選ぶ
休み明けの憂鬱対策として「早く切り上げてお酒を飲もう」「甘いものをたくさん食べよう」といった気晴らしを考えている人もいるかも知れません。しかし、気晴らし型の対処には、身体に負担をかけてしまうものもあります。これを選んでしまうと、一時的には気分が緩和しても、疲労感が残ります。人によっては疲労感に加えて、自己嫌悪の感情を抱いてしまうので翌日からが辛くなりやすいのです。正月は暴飲暴食で身体も弱っている可能性があるので、特に気をつけてください。
お勧めなのは「軽い運動」「マッサージ」「いつもより多く寝る」といった身体の負担を軽減するような気晴らしです。新年ですので、普段は買わない入浴剤を使ってみる、いつもよりいい紅茶を飲むといった気晴らしはいかがでしょうか。心が喜ぶ「身体に優しい気晴らし」を探してみてください。
予定は時間だけでなく〇〇の余裕を考慮して立てる
冬は日光に当たる時間も減りますので、精神を安定させる脳内物質「セロトニン」不足から気分が沈むといったこともあるかもしれません。
予定を立てるときは、時間の余裕をもったスケジューリングをしましょう。「遊びやプライベートの予定なら影響がない」と思うかも知れませんが、休み明けは気持ちの余裕がいつもより少なくなっています。時間だけでなく、気持ちに余裕がもてるように予定を調整しましょう。断る勇気も必要です。
今年もコロナの影響で落ち着かない時期が続きそうです。心の疲労が溜まっている方もいると思いますので、この休み明けは無理せず少しずつ調子を上げるようにしてください。
「自分は大丈夫」という方は、「辛い人がいる」ことも少しだけ意識するようにしてください。部下や家族などに、普段と同じような取り組み方を求めない、プレッシャーをかけ過ぎないというのも、この時期に大切にしたいコミュニケーションの課題です。
【最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。更新は原則毎月第1火曜日。アーカイブはこちら