就活シーズン到来。コロナ禍により求人数の減少も懸念されている上、大都市を中心に緊急事態宣言が発令されているが、採用活動は盛り上がりを見せている。「新型コロナウイルスショックで就職氷河期再来」という言葉をよく見かけるが、これは必ずしも正しくない。運輸、旅行、飲食など壊滅的な打撃を受けている業界があるのは確かだが、若者が減っていく危機感もあり、企業の採用意欲は高い。青田買いも横行しており、すでに「早期選考」が行われ、内定も出始めている。
昨年から新型コロナウイルスショックで大きく広がったのが、オンライン就活である。会社説明会、選考ともにオンラインで行ってしまうのだ。経団連による「新卒採用活動に関するアンケート結果」によると、2021年卒の採用活動において、Webによる企業説明会を実施した企業は88.4%、最終面接までWeb活用した企業は63.8%だった。もっとも、企業側にも戸惑いはある。「学生の企業理解や動機形成にWebは、評価できない」47.1%、「Web面接は対面面接より評価が難しい」62.7%、「Web面接は通信環境が問題」75.8%など、オンライン就活には課題があることもまた事実である。
2022年卒の採用シーンを見ていると、秋の段階では、オンラインとリアルを併用した採用活動になっていた。インターンシップに関しても、オンラインでも実施しつつ、ターゲットや人数をしぼり対面で実施する例も散見された。ただ、緊急事態宣言により、当初の予定もよりも、オンラインを活用する企業は増えると予想される。
いまや、就職・転職でオンライン面接の対策はマストと言える。その対策方法を考えてみよう。ポイントは①事前準備②オンラインを意識したコミュニケーション③余裕の3点である。
前提として、オンラインになったところで、面接は面接である。簡潔かつ具体的に話すこと、相手の質問の意図を考えること、事実を積み重ねること、質問されたことに逃げずに向き合うこと、マナーを大切にすることなどはまったく変わらない。
事前準備は入念に
具体的な対策として、まずは事前準備に力を入れることをおすすめする。面接用の機材や通信環境、カメラアングルや光量など映り方、自身の身だしなみなどをチェックしよう。
新卒の学生たちを何度もオンラインで模擬面接したが、「とりあえずPCの前に座った」という人たちを何度も見てきた。これは残念である。印象だけで求職者をジャッジするのはよくないのだが、その印象が最悪になってしまう。そもそも、このような大事な場で、こんな簡単なことに気が回らない人なのではないかと心配してしまう。
より具体的に言うと、機材に関しては面接に使う端末をいくつか保険で用意しておくとよいだろう。万が一、固まってしまった場合などの対策のためだ。Wi-Fi接続していても突然、落ちることがある。4G・5G回線でつなぐ方法なども確認しておくと良い。
これまで学生を模擬面接して、なかなか残念だったのが、カメラ映りに関する問題である。まず、家のどこで面接をするのかを決めよう。部屋が散らかっている様子がわかる場所で受けている人がいた。これまたよくあるのが「河童」状態だ。頭部が切れるカットで面接を受ける人がいる。カメラ内蔵のノートPCを使っている人に多い失敗だ。文書を作成するのと、面接を受けるのとでは最適な角度は異なるのだ。画面をみて、バランスを考えよう。服装の乱れにも注意だ。中には面接の直前に部屋着から着替える人もいる。ネクタイやシャツが曲がっていないかなど、気をつけよう。
少し大げさにアクションを
次にコミュニケーションである。結論から言うと、やや大げさにアクションした方がわかりやすい。頷く様子や表情など、対面では伝わっても、オンラインでは伝わりにくいことがある。相手にとって気持ちがいいように、少し大胆なくらいにアクションしよう。「結論から先に言う」「簡潔かつ具体的に発言する」は普通の面接と変わらない。自分でスマホを活用して自撮りをして、練習を重ねよう。これもまた、スマホ時代に誰もができることでありながら、必ずしも取り組まれていない対策である。
機器・接続トラブルには動じるな
最後に、大切なのは「余裕」である。怖がらせるわけではないが、オンライン面接には、トラブルがあって当然だというぐらいの姿勢で臨みたい。高いスペックの機材を使い、高速な回線を用意していようとも、相手の都合など、なんらかの事情で通信の遅延などのトラブルは起こるものである。突然、声が聞こえなくなる、動画がカクカクするなどの現象である。面接官の側も、機材や通信のトラブルはあるものだと認識しているので、落ち着いて対応したい。
他にも、突然の来客や家族が部屋に入ってくるなどのトラブルも起こりうる。取り乱さず、冷静に対応したい。
なお、オンライン面接でバレてしまうのが、カンニングペーパーである。視線によって、一発でバレる。もちろん、掲示する場所を工夫したり、ディスプレイ上のカメラに近い位置にメモを表示するなどの技はあるが、意外に相手には伝わるということを覚えておこう。
面接慣れするためにも、普段からウェブ上でのコミュニケーションではカメラをオンにすると良い。新卒の学生に関しては、大学でのオンライン講義では、通信費を軽減させるためにも、プライバシーの観点などからも、必ずしもカメラオンを推奨しているわけではない。そんな人が突然、カメラオンにすると、緊張するのは必至なのである。
語り継がれる…就活“珍プレー”
なお、やや番外編ではあるが、コロナ前からずっと就活の世界で話題になる、就活珍プレー好プレーがコロナ禍でどう変化するのかが気になる。四半世紀ほど就活シーンをウォッチしているが、数々の就活武勇伝を見聞きしてきた。スポーツのユニフォームで面接にやってきた学生、突然、リクルートスーツを脱ぎエアロビクスを始めた学生、ドラえもんの着ぐるみで登場した学生、ヒップホップで自己PRを始めた学生、フィギュアスケートのイナバウアーを実現した学生などである。この手の武勇伝、都市伝説で言うと「森本です。森永を本気で愛する森本です」「GNPとは頑張れ、日産、パルサーの略です」「男は黙ってサッポロビール。だから黙りました」という学生がいたという説がまことしやかにささやかれるが、真相は定かではない。この手の奇策がオンライン化でどう変わるのか。激しく傍観したい。
昨年度はオンライン面接が広がり、求職者も企業も困惑した。ただ、これもまた面接の手間の軽減のために、10年以上前から導入を検討されていたことである。スマホ自撮り模擬面接を繰り返し、慣れることによって乗り越えよう。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら