CAのここだけの話

「女の園」はツラい? 楽しい? 新人CAとして心掛けていた3つのこと

神原李奈

 SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第99回は外資系航空会社に勤務する神原李奈がお送りいたします。

外資系航空会社に勤務する神原李奈さん。提供:本人
ステイ先の、アメリカ西海岸のビーチへ同乗クルーと散歩にでかけたとき。提供:執筆者
トレーニングの合間に先輩とランチタイム。提供:執筆者
可愛いカフェで先輩CAとアフタヌーンティー。提供:執筆者

 航空会社というと、多くの方は「女の園」を連想するようです。よく聞かれるのが、「いじめとかある?」「怖い先輩いる?」などの質問です。わたしが新卒で入った日系大手航空会社では、所属CAの人数は数千人規模。年齢、出身、職歴、様々なCAが在籍しています。そんな女の園は、大変なのか? 楽しいのか? 今回は、その実態と、女の園でうまくやっていくために新人として気を付けていたことをお伝えします。

大変? 楽しい? 女の園の実態

 結論から言うと、「楽しい」です! 女性が集まるとトラブルが多いのではないか? と言われることもあります。もちろん、人間ですから相性が合わない人もいます。しかし、基本的には人に恵まれ、居心地の良い職場でした。

 毎日、色々な先輩方(CAとしても人間としても)とフライトし、刺激と学びの多い毎日でした。職業柄、世話好きで社交的な人が多く、お姉さんやお母さんに囲まれて過ごしている感覚でした。仕事のときは厳しく指導してくださる先輩も、飛行機を降りれば一人の女性。恋愛やファッションの話で盛り上がり、時には初めてご一緒した先輩と意気投合、ステイ先で買い物や食事、観光をするなんてこともありました。

 というのも、実はわたし、小学校~高校まで12年間女子校で育ってきたのです。そのため、入社時にも女の園だからと身構えることなく、何の違和感もなく、馴染んでいきました。それでも子供の頃から女性に囲まれて育ったからこそ自然と身についた、女性同士でうまくやっていくコツのようなものは、役立っていたように思います。そのなかでも、女性だけの職場で新人として特に気をつけていたことを、3つご紹介いたします。

1.基本中のキホン! 良好な関係は「挨拶」から始まる

 人間関係を築くうえで大切なコミュニケーションのひとつ、挨拶。基本中の基本ではありますが、意識して行っていました。

 例えば、以前フライトでご一緒した先輩と、また乗務するフライトが同じになった場合。わたしたちは、飛行機に向かう前にオフィス内のデスクに集合し、プリブリーフィングという打ち合わせをします。このブリーフィングの前に先輩をオフィスで見かけたら、「今日は宜しくお願いします」とご挨拶していました。デスクでお会いするときには、その日顔を合わせるのが二度目となるため、少し親近感がわき、その日はコミュニケーションよく仕事ができたように思います。

 また、デブリーフィングと呼ばれるフライト後の反省会が終わり、解散した後も同様です。自分がオフィスをあとにするとき。ご一緒した先輩に「今日はありがとうございました。またよろしくお願いいたします。お先に失礼します」と、挨拶をしてから帰るようにしていました。

 挨拶なんて当たり前、と思われるかもしれません。しかし、在籍CAの人数が多く、日々初めましてのメンバーでフライトすることの多い大手の会社では、このような積み重ねが、良好な関係の構築やチームワークに繋がると思います。

2.先手必勝! 先輩よりも先に行動する

 先ほどの挨拶に関しても言えることですが、とにかく“先手必勝”だと考えていました。ブリーフィングデスクに向かうのも、いつも一番手狙い。宿泊を伴うフライトで、翌日ホテルのロビーに集合して空港に向かうときも、先輩よりも早くロビーに降りていました。

 新人には、先輩に勝るスキルはありません。しかし、やる気があるのであれば、それを行動で示すことならできます。「先輩よりも先に動く」というのは、やる気を伝えるのに効果的な方法だと思います。

 ちなみにこれは、中高生時代の部活動で身に付けたことです。わたしが所属していたのは水泳部で、学校でも一二を争う厳しい部活と言われており、部則には「先輩よりも先に行動する」というものがありました。入部した当時は「なんだそれ」と思っていましたが、社会人となった今思い返すと、その意味がわかります。

3.新人はスキルゼロ 常に素直に、前向きに取り組む

 先にもお伝えしたように、新人には先輩に勝るようなスキルはありません。仕事を覚えて慣れるまで、色々な事例にぶつかります。どんな状況でも、いつも前向きに取り組むことを心がけていました。

 当時、新人は、毎日その日の目標を先輩方に伝え、フライト後にアドバイスをいただくというルールがありました。時に厳しいことを言われることもありましたが、素直に受け止め「(アドバイスを)ありがとうございます」とお礼を伝えるようにしていました。

 いつだったか、業務のことで意見がぶつかり、年次の上の先輩に言い返してしまったクルーが、そのあと陰口を言われている場面に遭遇したことがあります。どちらの言い分も理解できましたが、うまくやっていくことを考えたとき、まずは素直に受け止めることが大切なのだと思った記憶があります。

 いかがでしたか? 女の園の実態、人によるとは思いますが、わたしにとっては「楽しい」ものでした。また、わたしが働いていた会社は体育会系寄りだったので、過去の部活動での経験が役立ちました。CA以外でも、女性の職場で働いている方の参考になれば幸いです。

青山学院大学英米文学科を卒業後、日系航空会社の客室乗務員として4年間勤務。不規則な食生活から健康と食の強い結びつきを実感し、食の世界に興味を持つ。退職後、大手料理教室の講師の経験を経て、得意だったパン作りを活かし、パン教室「りなぱん~手ぶらでおうちパン教室~」を開く。それと同時に栄養士養成専門学校に通い、栄養士免許を取得。現在は、外資系航空会社で客室乗務員をしながら、栄養士として健康や食に関する情報を発信している。

【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら