CAのここだけの話

CAが教える、覚えておくと役立つ「機内ハック」 座席は無断で移動しても構わない?

SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第100回はアメリカ系航空会社で乗務3年目の美樹サンティアーゴがお送りいたします。

乗務後に撮影しました。提供:執筆者
ハワイでトレイル。オアフ島最難関の1048段に挑戦した後に待っていたのはこの美しい景色でした。提供:執筆者
アメリカの南西部アリゾナには広大な自然が広がっています。提供:執筆者

客室乗務員が知っている機内で役立つライフハックを教えて!

機内で利用できるサービスやちょっとした秘密など、お客様が知らないことって意外とあるんです。飛行機をよく利用する人や航空会社の人なら知っている「機内で快適に過ごす方法」。今回はそんな“機内ハック”をみなさんにシェアしたいと思います。

ハック1:座席は“勝手に”移動する

こんな経験はありませんか?

  • 座席を事前予約するのを忘れて自分の希望する場所に座れなかった
  • LCC(格安航空会社)を利用の際、有料の座席指定を使わず搭乗したら真ん中の席になった
  • 実際に指定された席に座ると窮屈で、空いてる席に移動したい
  • 意外と空いているフライトで周りにも空席がたくさんある

…でも、いつ移動したらいいか分からない。勝手に移動して他の人が座る席だったら?

そんなみなさんへ!

席移動をするタイミングは「搭乗客のみなさまが搭乗されました(All passengers are on board)」というアナウンスが聞こえた時です。空いてる席、移りたい席をチェックしながらこのアナウンスが聞こえた瞬間に、さっと移動してください(笑)

自分がスペシャルミールを頼んでいる、何かアシスタントを頼んでいるという場合を除いて、移動したからといって客室乗務員に何か言われることはありません。もちろん先にこういう事情があって席を移動したいと断っておくと安心です。

もし席に不具合があったり、映画を見るスクリーンが壊れている時などもぜひ客室乗務員に声をかけてください! なんらかの解決策をくれます。

ハック2:スペシャルミールを頼む 先に食事をゲット

スペシャルミール(special meal)とは日本語で特別食。ベジタリアン、ヴィーガン、ヒンドゥー、塩分控えめ(Law sodium)、グルテンフリーなどお客様の宗教上の都合や健康的な理由、ベジタリアンリクエストに応えるための機内食のことです。

もしあなたがベジタリアンだったり、乳製品アレルギーがある場合、機内食は食べられない...と思っていませんか? 実は大手の航空会社で機内食を提供するフライトでは事前にスペシャルミールを頼むことが出来るのです。

海外では、ヴィーガンやイスラム教で豚肉が食べられない人など、宗教的な理由で普通の機内食が食べられない人が多いので各航空会社のホームページにもどんな食事に対応しているのかが記載してあります。

スペシャルミールはたいてい、一番最初に提供されます。一番後方の席に座っていても、一番最初にお好みの食事を出してもらえるということです。

「お肉かお魚か」など、ミールチョイスがある場合、客室後方の座席だと、カートが回ってきたときにはもうチョイスが残っていないこともありますよね。でも、スペシャルミールを頼んでおけば、「本当はお肉が苦手…お魚のメニューが選べずお肉だったら、食べられるところがほとんどないなあ」なんていう悲しい思いをすることもなくなります。

もしスペシャルミールを食べてみたい方は次のフライトでトライしてみるのもありです! ただし事前に予約しないと準備出来ないので座席指定と同じようにリクエストをお忘れなく。

ハック3:常用している薬を忘れたら、CAに声をかける

旅行をする際や飛行機に乗る際は自分で常備薬やいざとなったときのために薬を持ち歩いている人も多いかもしれませんね。もし忘れてしまって、機内で「お腹が痛くなった」「頭痛が治まらない!」という場合でも大丈夫です。

客室乗務員に声をかけてもらえれば症状やいつ発症したか、アレルギーはないかなどの簡単な質問を受けた後で薬をもらうことが出来ます! 客室乗務員はそのような事態に対処するためにも応急処置の訓練も受けているので安心です。

ハック4:お腹が空いた時はギャレーに行く

機内で過ごしている間、小腹が空いた、機内食のサービス時に寝ていたという方は客室乗務員がいるギャレーに行ってください!

ギャレーとは前方、真ん中、後方にある機内食の準備や客室乗務員が座って休憩する場所。通常、フライトには、機内食やスナック、クルー用のご飯が少し余分に積まれています。場合にもよりますが、ギャレーに行けばお菓子やジュース、余ったパンなど何かもらえます。フレンドリーなクルーであれば色々話をしてくれたり長いフライトを楽しませてくれます。

実際に私も中東の航空会社で働いていた時は

  • 「お腹空いたからもう1つ機内食食べたい!」
  • 「さっきの機内食で出たパンが美味しかったからもう1つちょうだい!」
  • 「ビールもう一杯!」

と多くのお客様がギャレーまで歩いて来ていました。わざわざこちらまで歩いてきてくれる、そんなお客様にはクルーも快く対応します。

ちょっとしたことを知っているだけで機内での快適さが何倍も変わってきます。ぜひ次回、飛行機に乗ってどこかへ行く時に試してみてください!

大学卒業後、新卒採用で客室乗務員に。中東の航空会社で2年乗務した後、現在はアメリカ系航空会社に勤務しながらフリーランスで通訳・翻訳 / ライターとしても活動中。バリスタの資格も持っており、世界を飛び回りながら各国の美味しいコーヒーを飲むのが趣味。

【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら