「コロナ」に負けず応援つぶやく ツイート解析で分かった事
東京オリンピックが幕を閉じた。産経新聞では、ツイッター上の五輪関連ツイートに含まれる言葉の出現頻度を、文字の大きさで示す「ワードクラウド(WC)」で可視化。本格的に競技が始まって以降のWCに現れた「コロナ」の3文字の大きさは、今大会を取り巻く新型コロナウイルスの厳しい環境を物語る。それでもSNS上には、客席から届けられなかった選手への応援や称賛のメッセージがあふれていた。
五輪関連ツイートは開会式前日まで、連日「中止」「コロナ」といった言葉が多かった。だが、WCは7月23日の開会式を機に一変。その後は日本勢の活躍もあって、アスリートを応援する文言が増えていく。
とはいえ、競技が本格的に始まった24日から8月6日までのツイートを基にしたWC(図(1))を見ると、大きく表示されたのは「コロナ」や「感染」。その言葉の存在感が増したのは7月27日で、東京の新型コロナの新規感染者数が過去最多になった日だ。
開会式翌日から、柔道や卓球混合ダブルスのメダルラッシュに湧いた26日までに絞ったWC(図(2))と比較すると、この数日は「コロナ」の文字が比較的小さかったが、27日以降はコロナ下の五輪という現実に引き戻された形だ。日々の感染者数の動向に加え、表彰式でメダルを選手自身が手にするなどの感染対策にも注目が集まった。
だが、サッカー男子準決勝の日本-スペインが行われた8月3日、「サッカー」は「コロナ」より大きかった。客席から送ることができない声援がツイッターにあふれ、コロナ関連のツイートを上回ったことを示している。「NHK」「テレビ」といった言葉も多く、コロナ下で多くの人がテレビ観戦した様子もうかがえた。
図(3)は、ツイートに含まれていた日本勢メダリストで出現頻度上位のWC。卓球の混合ダブルスで金メダルを手にした伊藤美誠(みま)、水谷隼(じゅん)が大きい。2人を中心に熱戦を繰り広げた卓球の選手たちに、視線が注がれたことを裏付ける。
また、スケートボードストリートで金メダルを獲得した堀米雄斗らも表示され、今大会から採用された競技への関心の高まりを反映した。
選手名を含まないツイートが多い団体競技では、2008年の北京五輪を最後に実施競技から外されていたソフトボールのエース、上野由岐子が現れた。マウンドに君臨する13年前と変わらぬ姿に、祝福とねぎらいの声が相次いだ。
ソフトでは後藤希友(みう)も出現。河村たかし名古屋市長に金メダルをかじられたことも影響したが、1次リーグのカナダ戦で6者連続三振の快投を見せた若き剛腕に、かじられる前から称賛の投稿は多かった。(渡部圭介)
【解析方法】 図(1)は7月24日~8月6日、ツイッターに投稿された「五輪」「オリンピック」を含むツイート計約441万件(リツイート除く)から無作為に5千件を抽出し、「五輪」「選手」などを除く文中に含まれる名詞のうち、出現頻度上位100語を表示。図(2)はこのうち7月24~26日分。図(3)は競技が始まった7月21日~8月6日のツイート計約620万件から各日ごとに10%を抽出し、選手名に競技名などを合わせて検索、集計した。