CAのここだけの話

超厳格な体形管理 外資系エアラインのルールは入社後も驚きの連続だった

大瀧葵

 SankeiBiz読者のみなさんにだけ客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第112回はアジア系航空会社で乗務4年目の大瀧葵がお送りいたします。

アジア系航空会社でCAとして働く大瀧葵さん。提供:本人
旅行でマレーシアの隠れ家リゾート、ランカウイ島へ。近場の離島にもすぐに行けて海も山でも楽しめる自然豊かな場所でした。提供:執筆者
島全体が世界遺産のペナン島。街中にアートや美味しいご飯屋さんがたくさんあり、日帰り旅でも満喫して観光できました。提供:執筆者
毎日のランニングが趣味で、お気に入りの公園やルートを見つけて走っています。提供:執筆者
機内から富士山が見えたときは「日本に生まれてよかった~」と感じる瞬間です。提供:執筆者

 皆さま、各エアラインによって独自のルールや規則があるのはご存知ですか?

 私自身も入社前から、外資系エアラインには、外資系ならではの変わったルールや乗務員の見た目への厳しい規則があるということを聞いてはいました。そして、いざ入社してみてびっくり! 思っていた以上にたくさんの厳しくも面白いルールがあり、驚きの連続でした。

 今回は、実際に私が働くエアラインを参考にして、その“超厳格”なルールをいくつかご紹介していきたいと思います。

退社するまで着続けるフルオーダーメイドの制服

 私の会社では身体のラインが強調される民族衣装の制服を着るので、入社時に、オーダーメイドで自分の体形に合った制服を作ってもらいます。テーラーさんに体の細部まで細かく測って作ってもらうのですが、私は実際に手元に届くまで4回も採寸しました。

 ちょっとでも体と制服に隙間があると直しが入り、上から下まで全身ぴったりのサイズになるまで丁寧に何度も見直しが入ります。訓練終盤の、いざフライトするぞという乗務ギリギリまで制服が手元になかったので、ちゃんと間に合うのか内心ヒヤヒヤしながら心配になるほど。

 しかし、そのお陰で今では自分の身体にフィットする制服を着ることができています。逆にフィットしすぎて、機内でたくさん食べてしまうとウエストがキツくなることも多々。そういった時はこっそりチャックを下げて苦しくないようにしているのです(笑)

 また、このサイズは辞めるまで変更することができない決まりです。必然と、入社当時の体形を維持するモチベーションに繋がってきます。

年3回の体重チェックが必須事項

 私の会社だけでしょうか? 体調管理と制服の着こなしの観点などから、年に3回の体重チェックが行われています。

 各自の身長に対して体重制限が設けられており、その基準を下回っても上回ってもいけないというなかなか厳しい決まりです。測った体重は記録として残されるので、個人の体重を会社が管理している状態です。

 体重チェックの時期になると、「今ダイエットしているからミール(機内食)は食べないわ~」なんていうクルーもよく見かけます。

 あるフライトでは、このコロナ下で体重が10kgも増えてしまい、「確実に体重オーバーになった」と、必死に減量するクルーもいたり…。実際に体重オーバーになってしまってフライトを外されてしまったというクルーを目の当たりにすることもありました。

 「機内で働くCAたるもの会社の顔でなければならない」という認識が強いのか、個人の体形維持に関してもみんな並々ならぬ努力をしているのです(涙)

慣れない夜会巻きに四苦八苦

 私の会社では、髪型は「フレンチツイスト(夜会巻き)命」です。そのため、訓練初めに指定の美容院へ行き夜会巻きを習得しなければなりません。

 無論、訓練中も夜会巻き必須で、できない子は泣く泣く肩につかないぐらいの短さに切るしかないというちょっぴり可哀想なルール。そのため、簡単に整えるだけでいいボブ率は、訓練生の半数を占めていました。

 私は入社前まで一度も夜会巻きをしたことがなかったので、当時ほんとに苦労しました。ただでさえ毎日のテストで忙しく寝る間も惜しんでいるというのに、夜会巻きのためだけに早起きをして綺麗に仕上げるのは大変でした。

 それも日に日に上達していき、今では5分あればできるまでに成長しました。

 しかし、面白いのが、いざ乗務し始めると夜会巻きでもシニヨンでもどちらでもOKになること。なので、飛んでいるクルーのシニヨン率は圧倒的に高くなる現象が起こっています。

化粧はとにかく濃く! 濃く!

 「制服に負けないぐらいの派手で濃い化粧をするように!」

 グルーミング(身支度)の授業では自分たちの化粧の薄さに何度も注意されました。日本人が好むナチュラルメイクは、ここではまったく不十分で、むしろ「ちゃんと化粧してきたの?」と聞かれるほどでした。

 アイシャドウは制服の色に合う3色を使用したグラデーションを基本とし、普段使わないようなピンクや青、緑といった色合いから選ばなくてはなりません。加えて、つけまつ毛で目力アップ、人によってはカラコン(カラーコンタクトレンズ)でさらにデカ目効果に。とにかく濃い化粧をするように言われています。

 初めの頃は、「濃すぎるけど大丈夫なのかな?」と心配していましたが、制服を着た時には化粧が映え、しっくりくる装いに様変わりします。

 ちなみに、普段の化粧も「もっと濃くしなきゃ」と濃いメイクになりがちになってしまうので、オンオフ時のメイクの差に迷走しがちです。これはCAあるあるかもしれません。

 今回は私の働くエアラインでのグルーミングなどに関するルールを紹介しましたが、会社が変わればまた違ったルールもあると思います。今後も、働いているからこそ知っているCA事情など、業界外では聞かないようなお話をご紹介できればと思っています。

岡山県出身。大学在学中にカナダへ1年間の留学を経験。新卒で日系航空会社に入社。その後、現地ベースのアジア系航空会社に転職し現在CA歴4年目。筋トレとヨガで体を鍛えることにハマっています。

【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら