働き方ラボ

あなたの会社は「社2」対策できてる? 元トヨタ管理職員に学ぶ若手フォローの極意

常見陽平

 今日ではコロナと若者の間に「2年目問題」が浮上している。学校や企業で「2年目」の学生・社員を如何にしてフォローするか、ということである。

コロナで一変した“節目”の行事

 「社2」という言葉がある。社会人2年目という意味である。「中2病」「高2病」「大2病」同様、「社2病」という言葉もあった。学校、企業において2年目になると自意識が過剰になることで無駄に熱くなったり、何か反抗してみたり、自己主張を始めた結果、空回りをしたりする様子を表現したものだ。もちろん、医学的な病名ではない。ただ今年、本来は「生意気盛り」であるはずの2年目に、そんな余裕がないという現実もある。

 新型コロナウイルス・ショックが起こったのは、2020年の春、ちょうど期の変わり目だった。コロナによって卒業式、入学式、入社式、新人研修などが混乱した。別にこれは青春の思い出づくりのためのものではなく、大事な節目である。特に入学・入社時にいきなりオンライン前提となり、学内や社内の仲間づくりができないまま、突然放り出されたのだ。

 今年の1年目もまた、2019年までのような生活を送れているわけではない。ただ、2年目に比べると、コロナに対応した生き方や学び方、働き方を覚悟せざるを得なかったし、組織としての対応もできている方だ。これは、90年代前半から00年代半ばにかけて就職氷河期を経験した世代と、その後のリーマンショック、新型コロナウイルス・ショックの影響を受けた世代の違いにも通じるものがある。どの世代も気の毒だが、とはいえ、徐々に対策が充実していった。最初にショックに直面した代は、苦労の感じ方が異なる。

若手フォローにあの手この手も…

 そんな中、大手企業勤務の20代後半女性から相談があった。若手社員のことが心配でしょうがないという。せっかく入社したのに、新人研修もオンライン中心。歓迎会もなければ、普段の“飲みニケーション”も皆無。仕事を覚えるのにも苦労する上、いつまでたっても職場に馴染めていないのではないか? 若手社員に限らず、社員同士のコミュニケーションが薄くなっていないか? そんな危機感を抱いていた。

 実は若手社員をどのようにフォローするかは、コロナ前から問題となっていた。上司・先輩もふくめて働き方や育て方のルールが変化しているのだ。時代の移り変わりが加速する中、ジェネレーションギャップも深刻さを増し、同じ20代でも1歳違うだけで見てきた社会は異なる。コロナで飲み会なども壊滅的に減ってしまった。とはいえ、コロナ前から飲みニケーションは必ずしも歓迎されなくなっていたが。

 オンライン時代の交流手法として、オンライン飲み会、通称「オン飲み」に注目が集まっていた。もっとも、よほど幹事が上手でない限り、盛り上がらない。普通の飲み会以上に緊張し、疲れてしまい、会話が盛り上がるというわけでもない。

 若手のフォローという意味では、メンター制度を導入する企業や、上司との1対1での面談「1on1」を導入する企業も増えている。これも有効ではあるが、あくまで上司、先輩という関係の枠にとどまった手段といえる。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入に熱心な企業では、バーチャルオフィスを採用する動きもある。普通のテレワークではなく、仮想空間上のオフィスを設定し、その中での安心感を提供したり、つながりを生み出したりする試みである。ただしこれも、導入している企業は限られる。

元トヨタ管理職員たちに「ある特徴」

 では、どうするか。つきなみではあるが、業務の中で、若手社員に関心を持つこと、さらには、話しかける機会を意識的につくることがポイントである。

 トヨタ自動車で管理職を経験した人たちに取材したことがある。彼らは常に部下に注目している。ガチガチに管理するわけではない。部下たちに関心を持つのだ。その働き方に注目する。やる気に満ちあふれているようで、実は空回りしていたり、業務中に苦しい顔をしていたり、明らかに仕事にムラがあったりすることもある。そんな様子を確認し、声をかけ、サポートする。この観察し、話しかけるという行為を業務の中に取り入れている。職場に出社した際にせよ、オンラインにせよ、この相手に対して関心を持つこと、話しかけることを意識したい。職場の場合は、距離に気をつけなくてはならないのだが。休憩スポット、トイレなどホッとする場などでも効果的だ。

 会議の中で、意識的に発言の機会を設け、その場で交流することも有効だ。もちろん、効率化が重視される中、会議の時間が増えることになり、やや時代の流れに逆行するという批判もあるだろう。しかし、オンライン化による孤独・孤立が問題となる中、会議の中に、あえて飲み会的な雰囲気をつくり、意見や人となりがわかるようにする工夫は有益だろう。

 オンラインの社内コミュニティや、チャットでの交流も有効だ。このようなホッとするつながりをつくることが居場所づくりになる。

 人類は未だにコロナを克服したわけでも、共存できたわけでもない。その中で苦しんでいる若手をスルーせずに、フォローしよう。職場の活性化にもつながるはずだ。

常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

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