数式を読み解くことに似ている 数学塾長の私が“プロの指揮者”である理由 (1/2ページ)

 ■数学と音楽は密接につながっている

 数学と音楽--。まったく異質に思えるかもしれないが、実はこの2つには密接なつながりがある。

 私は数学塾を主宰する傍ら、プロの指揮者としても活動している。5歳の頃からピアノを始め、音楽の道を進むことを考えたこともある。東大理学部入学後は、大学の先輩とともに東京大学歌劇団を創設し、第2代の総監督を務めた。さらには大学院を中退し、オーストリアのウィーンに留学した。

写真=iStock.com/Eugeneonline

写真=iStock.com/Eugeneonline

 そのウィーンでよく聞いたのは、「彼(彼女)は論理的だからいいよね」という言葉だ。日本では、音楽はヒラメキやセンスが重視されがちだが、欧米では数学でいうところの「logical(論理的)」であることが称賛の対象となる。

 そうした土壌からクラシック音楽は生まれた。モーツァルトやベートーベンら天才作曲家が遺した名曲のスコア(楽譜)を読み解くとき、私はそこにある「論理」に感動する。音楽における「論理」とは、「和声」(ハーモニー)である。より具体的にいうと指揮者はスコアのなかの「和声の進行」(カデンツ)を読んでいるのだ。

 クラシックは、それ以外の音楽と比べ、テンポが一定ではないという特徴がある。小節単位や拍単位でテンポが目まぐるしく変わる。したがって指揮者の重要な役割は、どのようなテンポで音楽をつくっていくかで、その際に大事なヒントになるのがカデンツなのだ。

必ず論理があり、メッセージが込められている