横浜の中心部に超高齢「限界集落」 高層化する簡宿 (1/5ページ)

火災があった簡易宿泊所「扇荘別館」=1月4日午前、横浜市中区寿町
火災があった簡易宿泊所「扇荘別館」=1月4日午前、横浜市中区寿町【拡大】

  • 2人が死亡する火災のあった建物。火元となった5階のベランダを調べる捜査員=4日、横浜市中区寿町(荻窪佳撮影)

 正月3が日が過ぎたばかりの1月4日朝、横浜市中区寿町の簡易宿泊所で火の手は上がった。鎮火直後、消防は「3人死亡」と発表したが、その日のうちに神奈川県警は「火事で亡くなったのは2人」と訂正。実は建物内の一室ではこれ以前に男性が孤独死し、当初、火災の犠牲者の1人に数えられていたのだ。日本三大寄せ場の一つとされる寿町を中心とする寿地区だが、いまは65歳以上が半数以上を占める超高齢地区に変貌し、身寄りのない人も多い。火災によって発見された遺体。悲劇は街の現実を物語っていた。

 火が出た簡易宿泊所「扇荘別館」は、地上10階建ての鉄筋コンクリート製ビルだった。一見、普通のマンション然とした建物だが、中は広さ数畳の部屋で仕切られ、利用者は共同のトイレ、炊事場を使用することになっている。横浜市の担当者によると、寿町とその周辺約6万平方メートルの範囲を意味する寿地区には、こうした簡易宿泊所が昨年11月時点で新旧合わせて121軒営業しているという。

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