では、ご説明した3つの「罠」を回避するフレーズや行動をご紹介します。
「一度やってみてもらっていいですか?」
説明したものの、相手に伝わっているかどうかわからない。運用の現実的なイメージを持てていない可能性もある。そんな場合には理解を確認するフレーズがお勧めです。説明が終わった後の「何か質問ありますか?」というフレーズを「一度やってみてもらっていいですか?」に変えてみましょう。
おぼつかない状態を見ると、つい説明したくなると思いますが、グっとこらえて理解を確認するのがポイントです。一人で完遂してもらうことによって、「ミスをしやすい部分」「理解が間違っていた部分」「わからない部分」に気づいてもらいましょう。
引き継ぎメモは教える側がつくる
引き継ぎでは、教わる側がメモをとり、それをマニュアル代わりにして今後の仕事をしていくケースが多いと思います。しかし教わりながらメモをとるというやり方では、抜け漏れも多く、マニュアルとしては不十分です。
そこでお勧めなのは、教える側が引き継ぎメモを作ること。時系列での手順のほかに、間違いやすいポイントとそこからの復旧方法、わからなくなった場合に誰に聞けばいいのかを付け加えておくとよいでしょう。
「そこまでする必要があるのか?」と思う人のために「知識の呪縛」という言葉を紹介しておきたいと思います。
勘違いの原因となる「知識の呪縛」
私たちは既に知識があることについて、その知識がない状態で考えるのが苦手な生き物です。知らない状態を想像しても、一度身についた知識をゼロベースにすることができないことを「知識の呪縛」といいます。
「ここまでする必要はあるだろうか」と思ったときには、知識の呪縛という言葉を思い出してください。説明したことをできない部下を見て「能力が低い」と考えそうになったときも思い出してください。
説明が通じないのはあなたの能力不足ではありません。そしてもちろん、一度で理解できない人の能力不足でもないのです。
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引き継ぎなどのシーンでは、教える側も教わる側にも陥りやすい「罠」があると理解して、教える側がそれを補足するように説明することでミスを減らすことができるでしょう。
【最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。>アーカイブはこちら