医師残業「年1860時間」提示 働き方改革の報告書案 厚労省

 厚生労働省は13日、医師の働き方改革に関する有識者検討会に、一部医師の残業時間の上限を「年1860時間」と記した報告書案を提示した。一般労働者の上限「年720時間」をはるかに上回る時間を容認する。月内に決定し、改革は平成36(2024)年から運用される。

 検討会は29年8月に設置され、20回の会合を重ねてきた。今年4月から働き方改革関連法案が施行されるが、医師は適用を5年間猶予。新しい改革でも期限を明記し、その間に激務とされる医師の労働時間を一般労働者に近づける。

 報告書案ではまず、「わが国の医療は、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられている。よい医療を持続させるためには、現状を変えていなくてはならない」と強調した。

 残業の上限規制については、一般の勤務医、地域医療に従事する医師、研修医の3つに分けて記載。「現状において年間3千時間近い残業をしている医師もいる」として、急激な労働時間の削減が医療の提供に悪影響を及ぼすことを懸念した。

 特に救急救命を担う機関、在宅医療に積極的な役割を持つ機関など、客観的な要件を整理した上で、地域医療については「年1860時間」の上限を提案した。集中的に技能を詰め込む必要のある研修医も同様の上限にしたが、両者とも、当直などの連続勤務を28時間(研修医は24時間)までとするなど、健康確保措置を設けた。