「健康経営投資」を提唱 経産省、日本発の投資形態へ後押し


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 経済産業省が、「従業員の健康管理」を経営戦略の一環として積極的に取り組む企業に投資する「健康経営投資」を国際社会に向けて提唱することが16日、分かった。福利厚生や生活習慣病対策などを指標とすることを想定し、環境・社会・ガバナンスに力を入れる企業に投資するESG投資と並ぶ日本発の世界規模の投資形態にしたい考えだ。国として健康増進などを後押しすることで、健康関連産業の拡大を促す狙いもある。

 経産省は日本社会の高齢化が進む中、健康経営の概念が普及すれば国力も増やせると判断。既に東京証券取引所と共同で健康経営を実践する企業を選定する「健康経営銘柄」を公表するなどしている。経産省は今後、国連やアジア太平洋経済協力会議(APEC)など、国際会議の場で健康経営投資の重視を呼び掛けていく。

 健康経営投資では、企業の福利厚生額などへの年間の健康投資額や、生活習慣病、メンタルヘルス対策などを積極的に実施しているかなどが投資基準となる。健康経営に積極的な企業の株価に連動する上場投資信託(ETF)の創設なども呼び掛ける。

 経産省が健康経営投資を後押しする背景には、「2040~50年に日本の65歳以上の割合が38~40%で安定するなど世界一の長寿国になる」(同省幹部)ことがある。

 経産省は、健康増進や介護予防の取り組みが進めば、34年には介護費が3・2兆円減ると試算。さらに健康な高齢者が働くことで25年に消費が1・8兆円増加するともみている。また今後、産業の中心を予防重視に切り替えることで、健康増進関連事業や介護食品、福祉用具、保険など患者や要介護者の生活を支援する事業が拡大するとも期待している。

 既に、東京海上日動火災保険は健康経営を実践する企業に対して一部の保険料を割り引く制度を始めている。また日本政策投資銀行は、健康経営企業を格付けしたうえで、評価に応じて融資条件を変えるなどの取り組みを進めている。