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“昇降型”ピッチ、コンサートも 地域根ざした「J令和構想」、チェアマンに聞く (1/3ページ)

 間もなく「令和」の時代が幕を開ける。Jリーグの村井満チェアマン(59)は産経新聞の単独インタビューに応じ、新時代の羅針盤を示し、「平成」を振り返った。令和での使命は各クラブが本拠地とする地域に深く根ざすこととし、スタジアムを核に据える考えを示した。期待が高まっている防災機能に加え、学校、役所、スポーツ施設などが一体となった形式や、ピッチを天井まで上昇させる技術の利用などを構想中で、老若男女が集う空間を生み出したいという。(五十嵐一、奥山次郎、榊輝朗)

 「おそらく、少子高齢化が成熟の局面を迎えるのが令和の時代になりますよね」。新時代を、こう見通した。高齢者の行動範囲は限られる。人口減少に比例して税収が減れば、新設できる施設は多くない。「多機能型の施設があったらいい」と考える理由だ。

 3月、シンガポールに飛んだ。中心部から車で30分ほどのタンピネス地区で出合った光景は衝撃的だった。5階建てのスタジアム中央にピッチが広がり、映画館、図書館、リハビリ施設、役所、飲食店、ジムなど、生活に必要な施設がグルリと取り囲んでいた。

 シンガポールの国土面積は東京23区ほど。土地が限られる条件は日本に似ている。「一つ一つ別々のものを造るより、コストもかからない」と実感した。高齢者がピッチを見下ろしながらランニングしている姿を目にして「スポーツの入り口を自然な形で置いている」とも感じた。役所への用件で足を運んだ人が、走っている人を見て体を動かしてみようと思える環境は魅力的だった。行政やスポーツなどの縄張りを乗り越え、融合していく未来を見た。

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