東京都教育委員会は23日、長時間勤務が問題視されている教員の働き方改革を進めるため、教員の勤務時間の上限について方針を策定した。いじめなどの突発的な重大事案を除き、国の方針に従って時間外労働時間の上限を「月45時間」などと記載した。
今回、策定された方針の対象となるのは、都立高校の教員ら約1万8千人。出勤カードシステムや、教員本人による報告などにより、土日祝日を含めた勤務時間を計測して把握する。時間外労働の上限は原則「月45時間」「年360時間」とした。
ただ、いじめや学級崩壊など突発的に起きた重大事案で、勤務時間外に働く必要がある場合は特例扱いとするが、1年間で720時間を超えないようにする。
国の中央教育審議会は1月、教員の働き方改革に向けた方策を文部科学相に答申。教員の残業時間を原則月45時間までとする指針の順守を柱とし、文科省は今年度中に関連の法改正を目指している。
都内の公立学校の教員をめぐっては、都が平成30年に実施した調査で、時間外労働が月80時間を超えるいわゆる「過労死ライン」に達する教員は、中学校で48・5%、小学校で36・3%、高校で21・3%に上り、働き方改革が喫緊の課題となっていた。
都教委はこの日、都立高校などで働き方改革に取り組んでいる先進的事例も紹介。「特定の曜日を定時退庁日に設定し、職員室の黒板への表示やBGMの放送により退庁を促進」「体育祭や文化祭などの会場準備を簡素化」などがあった。
都教委の担当者は「スピード感を持って対応することが重要」と強調。この日策定した方針を都立高校などに加え、公立小中学校を管轄する各区市町村教育委員会へも通知する。教員や保護者にも理解を求める文書を送付する意向だ。