書評

『零戦隊、発進!』神立尚紀・著

 ■パイロットが語る戦いの真実

 先の大戦を通じて、日本海軍の主力戦闘機だった零式艦上戦闘機(零戦)のデビュー戦となった昭和15年9月13日の中国・重慶上空の空中戦は、13機で敵の27機を撃墜した完全勝利として、航空ファンの間で知られている。

 零戦無敵神話の始まりとなった戦いの真実を、生き残ったパイロットらの証言や記録を基に明らかにしていく。13人のパイロットは、激しくなっていく戦火の中で次々に命を落とし、終戦時に健在だったのは4人のみであった。

 華やかなデビューと、その後の過酷な運命との落差。戦争のむごさを感じずにはいられない。(潮書房光人新社、2200円+税)

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