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文化の「線引き」はどこまで必要か? スカンジナビアとアジアの違い (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 2008年、北京オリンピックの開幕式をテレビでみながら1つのことを思った。これから、日本は中国文化の派生型であるとの一面をグローバル市場で強調した方が有利かもしれない、と。

 これが中国文化だ、との演出が印象に残りやすかった。その存在感の強さを上手く使って、日本文化の共通点と差異点を見せていくのが、日本の人たちの戦略になるのではないかと考えたのだ。

 最近、あるフィンランド人が15年前に書いた文章を読んでいて、北京オリンピックのことを思い出した。

 フィンランド人はこんなことを書いていたのだ。

 「フィンランドという国ではなくスカンジナビアという地域のテイストがグローバルに受けているから、フィンランドのトップ企業もフィンランド以外のデザイナーでブランド戦略を図っている。その結果、自国の若いデザイナーはクライアントを海外企業に求めるしかない。するとスカンジナビア地域の人気はあるから、彼らは仕事をとるのに困らない」

 この記述はセラミック分野でビジネスをする人によるものだ。スカンジナビアといえばスウェーデン・デンマーク・ノルウェーの三国であり、フィンランドはここからは外れる。フィンランドは「広義」のスカンジナビアという領域で入ってくる。そういう事情が第三者には分かりずらいビジネス環境をつくる。

 フィンランドのセラミックのトップ企業の1つにアラビアというブランドがある。かのフィンランド人は、アラビアについても次のように指摘している。

 「興味深いことに、フィンランドでの展示会でもアラビアは新しいプロダクトをスカンジナビアデザインとしてマーケティングしている。企業の母国でデザインをスカンジナビアと称しているのだ」

 フィンランドという一国とスカンジナビアという地域を使い分けていることになる。そうして別のエピソードをぼくは思い出した。

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