書評

『村岡典嗣 日本精神文化の真義を闡明せむ』水野雄司・著

 ■「日本思想史」を追求した学者

 東北帝国大学教授として日本思想史学を確立した村岡典嗣(つねつぐ)(1884~1946年)。自己中心的で客観性を欠いた「日本精神」が喧伝(けんでん)された昭和初期に、実証的学問として日本思想史を追求した希有(けう)な学者の生涯を描いた評伝だ。

 そもそも「日本思想」とは何か。神儒仏のいずれかか。明治以降の「忠君愛国」は創作物ではないのか…。西洋哲学を学んだ後に本居宣長の研究に関心を移した村岡は、そうした疑問に真摯(しんし)に向かい合い、やがて「国体」と「世界文化の摂取」という2つの柱を見いだしていく。綿密な資料を基に学問的苦闘を描き出す。(ミネルヴァ書房、3500円+税)

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