社会・その他

大阪の下町が悲鳴 インバウンド急増が生む観光公害 (1/2ページ)

 訪日外国人(インバウンド)で活況を呈する大阪の都心部。「爆買い」に象徴される一時の喧噪(けんそう)も落ち着きを見せ、最近はキタやミナミといった繁華街からは少し離れた、“ウラ感”のあるスポットにも注目が集まっている。一昔前の下町の雰囲気を今にとどめる大阪市北区の中崎地区もその一つで、外国人に人気のエリアとなっているが、古くからの住民は急速な観光地化に困惑。撮影トラブルやごみの放置などが問題になっているという。(井上浩平)

 昭和レトロ

 「目の前の道が『カフェ通り』だと、外国人観光客から教えられた。何十年も住んでいるのに知らなかった」。中崎地区で駄菓子店を営む男性(89)が戸惑い気味に打ち明ける。

 大阪メトロ中崎町駅周辺の同地区は繁華街の梅田から徒歩で10分ほどの距離。先の大戦でも大きな被害を免れ、都心部にありながら昔ながらの民家や長屋がひしめいている。路地の入り組んだ街並みは昭和の薫りを漂わせ、「昭和レトロ」の看板を掲げる店もある。

 地元住人らによると、2000年代に入ってから、若者らが空き家を改装し、おしゃれなカフェや雑貨店を開くようになった。長屋の合間にこうした店舗が存在することで、この街特有の景観が生まれ、知る人ぞ知る“ウラ感”が醸し出されることになった。

 こうした雰囲気は旅慣れた外国人の注目を集め、中国人観光客による爆買いも下火になった2、3年前からは、来訪者が急増するようになったという。

 カナダから観光に来た大学生のビクトリア・タムさん(21)は「かわいい雰囲気で、すてきな街。初めての銭湯体験も楽しかった」と満足そうだった。

 注意も通じず…

 一方で外国人の増加に伴い、住民らとの摩擦も生じるようになった。

 地元の70代主婦は「玄関前で三脚を立て、写真を撮っている外国人がいた。狭い通りだから『邪魔やで』と声を掛けたけど、言葉が通じんから、知らん顔だった」と苦々しげに話す。

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