社会・その他

米中貿易戦争にビクともしないハリウッド、対する中国映画業界は青色吐息 (3/3ページ)

 昨年、世間を騒がせた中国の女優ファン・ビンビンの巨額脱税事件の影響で、中国当局の目が厳しくなった結果、中国の映画産業は罰金と追徴税などで総額約110億元(約1700億円)を支払っており、小規模な映画制作会社に対する新たな規制によって、所得に対してかかる税金の率が3%から20%に引き上げられる可能性が出てきたといいます。

 北京の映画業界幹部は「税務調査と国内経済に対する悲観論が投資を妨げている」と述べ「映画の制作本数が自体が減るうえ、中・低規模の予算の映画が増えるため、映画市場はこれから2年は冷え込むだろう」との悲観しました。

 中国の大手投資ファンド(プライベート・エクイティ・グループ)「CECキャピタル」の創設者、ラン・ウァン氏によると「2014年から18年に1800億元(約2兆8500億円)もの資金が中国の映画製作会社やテレビ局400社に流れ込んだ」といいます。

 しかし、シャドーバンキングへの締め付けが厳しくなり、こうした資金の大きな流れが事実上、止まっているため、昨年12月に開かれた業界の会合で、ウァン氏は、資金調達の滞りによって、今年、中国のエンタメ関連企業約1万2000社のうち、少なくとも4分の1が廃業を余儀なくされるとの考えを明らかにしています。

 前述のように、中国でのハリウッド映画への需要は根強く、中国のエンタメ系調査会社、エントグループ(芝恩)の集計によると、中国での5月20日から26日の週間興行収入ランキングを見ると、トップ5の作品のうち、4作品がハリウッド映画でした。

 当局の厳しい検閲にもかかわらず、今後もこうしたハリウッドを中心とした海外映画の輸入は増加するとみられ、前述のフィナンシャル・タイムズ紙は、中国民生銀行の調べとして、今年、中国に輸入される海外映画の本数は昨年の30%増になると報じました。一方、国内の映画産業は大変なことになっており、中国の専門家たちは、中国の産業界における「映画バブル」が弾け、今後、厳しい状況が続くと予測しています。(岡田敏一)

 【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家、産経ニュースで【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。

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