書評

『愛と欲望の三国志』箱崎みどり・著 昔から愛されてきた理由とは

 中国の古典小説「三国志」は、江戸時代の爆発的なブームを経て、吉川英治、陳舜臣ら独自の解釈を交えた再話が多くの読者を魅了してきた。劉備らの人物評に始まり、経営論や政治評論にまで作中の故事が持ち出される。三国志が「おじさま方のバイブル」とは少し手厳しいが、その筆者自身がニッポン放送の女子アナウンサーにして三国志の研究者である。どんなおじさまも足元に及ばない三国志への愛が全編にあふれる。

 古くからこれほど多く三国志が時代ごとの日本社会に受け入れられてきたとは!本書は驚きの連続であり、三国志への興味をかき立てられる。(講談社現代新書、860円+税)

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