働き方

事業公募制でやる気を醸成 JR九州・矢野慎一郎さん

 「もっと自分のひらめきを訴えて、わくわくする仕事を作りだそう」。駅員や乗務員、営業など分野別の「畑」ができやすい鉄道会社で、新規事業を考案すれば年次や出身分野に関係なくプロジェクトリーダーに抜擢(ばってき)する公募制を発案した。

 想定以上の応募を集め、古民家再生や事業継承ファンドなど稼げる「非鉄道」事業の掘り起こしにつながった。

 JR九州は新幹線開業や株式上場を果たしたものの、沿線地域の人口減少で鉄道収入には頼れず、経営の多角化を迫られる。さらにブラックボックス化された不透明な従来の人事では、若手が離職しかねないとの懸念もあった。2つの異なる課題を前に人事部ならではの打開策を打ち出した。

 水陸両用船の運航から温泉フグの陸上養殖まで。3カ月で210件の多彩なアイデアに「予想の倍以上。待ってましたとばかりにね」。最終的に選ばれた古民家再生など3件は、事業化への検討が本格化している。

 数年前までは、上司の指示を忠実にこなすだけだった。しかし、同世代のベンチャー企業家に出会い、「日本を変える、世界を変える」と言う姿に衝撃を受けた。「自ら課題を見つけ、解決することが価値だと教わった」。これが、社員9000人全員参加の新たな挑戦につながった。

 公募制にこだわりはない。「言いたいことを会社に言っていいんだと伝えたかっただけ。声が上がらなくなる方が怖い」と話している。

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