論風

日本の夢・新時代の世界ビジョン 米中超える大戦略の構築を (1/2ページ)

 米国第一のトランプ米大統領の夢、一帯一路の習近平・中国国家主席の夢を超克する日本の夢(ビジョン)とは何か。中国の夢は「人類運命共同体」構想まで語っているが、それに対応する日本の夢はまだ明確に示されていない。国家の権威と権力、大規模な物財(ハード)の提供をベースとした世界ビジョンは、現在の発展途上国にとって魅力的に見えるかもしれないが、運命共同体と覇権主義とは相矛盾し、長い目で見て限界は明らかだ。(世界のための日本のこころセンター代表・土居征夫)

 もちろん国益の追求、国や民族の自立と発展は大前提ではある。そのための政治や経済のビジョンを私達は持っている。政治面では民主主義と自由、法治と人権、経済の面では市場主義(自由貿易)を原則としつつ市場の失敗(格差拡大など)は是正するという確固とした座標軸を第二次大戦までの苦難の歴史を乗り越え確立してきた。

 共存共栄を標榜

 ただ、トランプ、習時代に入って、世界中で、望ましい世界像についての混乱と分裂が進みつつある。日本は自らの価値観に疑いを持っていないが、望ましい世界像については混乱する世界の声に受け身で対応するだけで、そこに一機軸を打ち出せていない。米国のインド・太平洋戦略や中国の一帯一路政策への対応にとどまることなく、それらを超克する新しい世界ビジョンとそれに基づく大戦略を考える時期に来ているのではないか。

 日本の夢は、精神的に充実した「こころ」の世界を重視し、「逝きし世の面影」(渡辺京二著)に描写され、江戸時代に「世界一幸せな人々」と言われた日本人のこころの伝統を継承・発展する世界観である必要がある。それは、米国第一、中華民族の復権といった覇権追求型ではなく、各国が自立した主体性を保持しつつ人類の共存共栄を目指すものでなければならない。

 そのためには、物財的な満足、量的拡大、小我(自己利益)の追求にとどまらず、こころ(ソフト)の充実、質的向上、大我(他と共にある大きな我)の追求がより重要という基本哲学に立つ必要がある。過去1000年、災害と戦乱の世を生き抜いてきた日本のこころとそれが構築した日本の生活文化には、このようなビジョンの素地がある。多元的価値観を許容し人類共生社会構築に貢献する日本のビジョンを、新しい世代が検討・構築し自信をもって内外に発信する時期ではないか。

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