働き方

実は「優遇されすぎ」 サラリーマンと個人事業主の“税金格差”問題 (2/3ページ)

 第一に、ウーバーイーツ配達員のような雇用的自営業者は、同じような働き方のサラリーマンに比べて一般的に税金面で不利になっている。サラリーマンのような給与所得者は、「給与所得控除」が手厚いからだ。

 給与所得控除とは、サラリーマンの収入から無条件で一定の経費を差し引く制度だ。会社が従業員の経費(仕事のためのスーツや靴など)をいちいち計算して手続きをするのは大きな手間となるため、収入に応じて一律に経費の額を定めている。この給与所得控除の水準は、クロヨン(伝統的自営業者などの所得把握率の相違)問題への対応などから、一般的にサラリーマンの実額の経費より手厚い(高い)水準になっているため、サラリーマンは雇用的自営業者より税金面で有利と考えられている。

 一方、個人事業主はかかった経費の領収書をいちいち計算して、実額で申告しなければいけない。サラリーマンに対して認められている給与所得控除よりも、申告できる経費が少なければ負担の不公平が生じてしまう。さらに、ウーバーイーツ配達員のような雇用的自営業者は、経費に計上できるものが少ないと思われるので、税金の不公平は拡大する。

 なお個人事業主には「青色申告特別控除」という制度があり、これを利用すれば65万円の所得控除が受けられる。ただし取引を複式簿記で記帳することが必要で、それだけの手間に対して割に合うかどうかは人それぞれだろう。

 サラリーマンと個人事業主では経費に差が

 どれほど経費の額に差が生じるのだろうか、サラリーマンの平均的な年収である400万円の場合で計算してみよう。

 給与所得控除は収入に応じて計算されるが、だいたい収入の3割程度となっている。年収400万円の単身者の場合は400万×20%+54万円という計算式になるため、収入から差し引かれる経費の額は134万円になる。一方で、「青色申告特別控除」を受けている個人事業主の場合、控除額は65万円で、これに加えて実額の経費が控除できる。ウーバーイーツ配達員のような個人事業主は計上できる経費は少ないと考えられ、給与所得者との負担の相違が出てくる可能性がある。

 個人事業主にも給与所得控除と同水準の控除を

 政府はこの不平等を解消するため、平成30年度税制改革で給与所得控除を10万円減らし、その代わり納税者全員に適用される「基礎控除」を10万円増やすという税制改革を行った(平成32年分から適用される)。

 個人事業主は基礎控除が増えただけ減税になる。今後の税制改正について、与党税制改正大綱には、「給与所得控除を削減し、その分を基礎控除に付け替える改革は、今後も継続する」旨の記述があるので、今後も継続的に行われていくものと予想される。

 しかし、それには相当時間がかかるとも考えられるので、別の方法も検討すべきだ。それは、クラウドワーカーやウーバーイーツの配達員など主として労務の提供を行う者で、一定水準以下の所得の個人事業者に対して、給与所得控除と同じくらいの額の経費を一律して控除する制度である。そうすれば、双方の税負担は原則同一になる。その場合、いまだ過大となっている給与所得控除のさらなる見直し(縮小)とセットで行うことが重要だ。

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