社会・その他

“もどき”極めた精進料理「普茶料理」 有馬・温泉寺で味わう

 江戸時代に中国から渡来して、臨済宗、曹洞宗と並ぶ三禅宗のひとつ、黄檗(おうばく)宗の開祖となった隠元隆●(=王へんに奇)(いんげんりゅうき)禅師。その名のごとく、インゲン豆を日本に持ち込んだことでも知られる隠元禅師は、独自の中華風精進料理ももたらした。それが大本山の萬福寺(京都府宇治市)に伝わる「普茶料理」。この料理が、神戸・有馬温泉で提供されることになった。(上坂徹)

 普茶料理とは、ウナギのかば焼きやかまぼこに似せた「もどき」料理など、他の精進料理とは一線を画した、中華色の濃い多彩な献立。ひとつの卓を囲み、グループで大皿料理を取り分けるのがルールだ。

 有馬温泉にある黄檗宗温泉寺は神亀元(724)年、高僧・行基による開山と伝えられる古刹(こさつ)だ。住職の浅野英俊さんは今春まで、萬福寺で調理を担当する典座長をつとめていた。温泉寺に戻ったのを機に、「有馬でも普茶料理を」と、同寺での提供を決めた。

 普茶料理は、精進料理で肉や魚など動物性のものが使えないことから、そうしたものに似せて作る「もどき」が大きな特徴。「ウナギのかば焼き」もどきは、豆腐をすったものに、山芋のとろろを混ぜて形を整え、海苔を貼り付けて油で揚げた上、たれを使って照り焼きにする。見た目だけでなく、その味と食感までウナギを食しているかのような気分にさせる。

 はじけたイガから、栗の実が顔をのぞかせている料理は、茶そうめんを素揚げして作った。見た目はいがぐりそのものだが、もちろんイガまで食べられる。

 このほか、ゴマ豆腐のルーツといわれる「麻腐(まふ)」、旬の野菜や乾物の煮物を大皿に盛った「箏羹(しゅんかん)」、素材や衣に味付けして揚げた「油茲(ゆじ)」、具に唐揚げの入ったすまし汁「寿免(すめ)」。料理の際に残った野菜のへたを刻んで葛でとじた「雲片(うんぺん)」は、八宝菜のルーツともいわれる。コースとして提供され、最後にデザート「水果(すいご)」で締めくくる。

 「普茶」とは「普(あまね)く大衆と茶を共にする」から来た言葉。席に上下の隔たりはなく、一卓に4人が座して、和気藹々(わきあいあい)と料理を残さずに食べるというのが作法だ。その様式は長崎名物の「卓袱(しっぽく)料理」と似ているが、食材が根本的に異なる。

 浅野住職は「普茶は精進料理であることに加えて、ネギ、タマネギ、ニンニクも使えないと規制が大きい。その分、工夫も大きい。台湾では、おせち料理として振る舞われています。ぜひ、体験してもらいたいですね」と話している。

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 温泉寺 神戸市北区有馬町1643。普茶料理の提供は、午前11寺半~午後1時半。予約は1卓4人(3人でも可)で、1日6卓まで。料金は1人5000円(税別)。予約は同寺(078・904・0650)へ。

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