社会・その他

医薬卸、一括受注悪用か 談合疑い4社、シェア9割 公取委「生活影響も」

 全国57病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構(東京)が発注する医薬品の入札をめぐる医薬品卸売大手4社による談合疑惑で、過去3回の入札で落札したのは、全てこの4社だったことが28日、分かった。再編が進んだ医薬品卸売業界で巨大化した“4強”が医療費抑制のための一括発注を逆に悪用し、数年前から利益確保を図っていた疑いが浮上している。

 公正取引委員会は独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで27日、メディセオ(東京)、アルフレッサ(同)、東邦薬品(同)、スズケン(名古屋市)の4社を強制調査した。検察当局への刑事告発を視野に調べを進めている。

 このうちの1社の幹部は、産経新聞の取材に対し「もともとシェアはあるので、談合なんかしなくても十分に仕事は取れるはず。なぜこんなことになってしまったのか」と、突然の強制調査に焦りを隠さない。

 問題の入札は昨年6月に行われた、全国の病院で使用する2年分の医薬品を発注する一般競争入札。外用薬や胃薬などの医薬品約7900品目を、製薬会社などで147のグループに分けて行われた。

 参加した4社の契約額は、▽東邦薬品233億6939万円▽スズケン189億6824万円▽アルフレッサ159億3014万円▽メディセオ156億3792万円-で、総額約739億円に上る。平成26、28年に行われた入札でも参加したのは、この4社だけだったという。

 製薬会社から医薬品を仕入れ、全国の医療機関へ販売する卸売業者は数十年前は約350社あったが、物流の効率化などを背景に合従連衡が進んだ。業界団体の日本医薬品卸売業連合会によると今年11月現在の加盟社は71社。集約された4社の売上高は1兆~2兆円規模で、シェアは9割近くにも及ぶ。

 一方、26年4月に設立された同機構では、地方病院の経営効率化が課題とされ、複数病院で医薬品を発注する場合は「共同入札」として、同機構が2年に1回、一括発注する方式が採られた。当初は随意契約も多かったが、競争性確保のため競争入札の割合を大幅に増やしたという。同機構は「一括でやった方がコストカットできる」と説明する。

 ただ全国規模の納入に対応できるのは実質的に4社に限られる。巨額に上る医薬品を一括受注できる上、同機構は公的機関のため民間と比べて卸値を買いたたかれる懸念もない。先の幹部も「会社として力を入れるべき契約ではある」と重要性を認める。

 公取委はこうした医療費抑制の仕組みが結果的に、受注調整を容易にしたとみる。業界関係者は「おいしい仕事をみんなで分け合おうと思っても不思議ではない」と明かす。

 病院で使用される医療用医薬品の値段は国が定めており、2年に1度、卸売業者から医療機関へ納入される際の「市場実勢価格」を基に改定される。このため、卸値が談合で高止まりしていたとすれば、値段に影響していた可能性もある。公取委幹部は「国民生活への広範な影響を及ぼす可能性があり、刑事責任追及を検討すべき事案だ」との見方を示す。

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