キャリア

1964年、メダルは取れずとも気づいた“育てる重要さ” その思いはメダリストへ (2/2ページ)

 テニスやサッカー、バスケットボール。さまざまな競技で海を渡り、世界最高峰の舞台で活躍する日本人アスリートの姿は、今や当たり前の光景になった。

 2016年の前回リオデジャネイロ五輪では、陸上男子400メートルリレーで銀メダルを獲得。「不可能」といわれた陸上短距離の分野での快挙だった。昨年のラグビー・ワールドカップ(W杯)で「ONE TEAM」を合言葉に史上初の8強入りを果たした日本代表チームが列島を興奮させたのは、記憶に新しい。

 先人が積み重ねた技術や情熱を後進が受け取り、進化させる。後藤が心血を注いだテーマに、現役のうちから取り組む「第一人者」がいる。12年ロンドン五輪、16年リオ五輪の体操個人総合金メダリスト、内村航平(31)だ。

 自身の名を冠した大会「KOHEI UCHIMURA CUP」を3月に開催。自身を含む国内12選手が出場、高校生の有望選手も3人、招待した。

 前人未到の個人総合3連覇を目指す2020年東京大会に向けた調整の意味合いのある大会だ。

 しかし、内村は話す。

 「若手選手にはあまりスポットが当たらない。少しでもきっかけになるといい」

 こうも語った。「子供たちが体操や運動に触れる環境がない。そういった機会をつくっていける立場になりたい」。金メダリストである自らの知名度を、競技の普及につなげたい。そんな思いもにじむ。

 2020年。世界最高峰のアスリートが、ふたたび東京で競演する。その姿は子供たちの胸に残り、受け継がれていくはずだ。1964年と同じように。

 子供の体格向上、運動能力は横ばい

 日本が経済的に豊かになるにつれて、子供の体格は向上していった。前回の東京五輪翌年の1965(昭和40)年に138.5センチだった11歳男子の身長は、平成に入りほぼ横ばいになったが、2018(平成30)年には145.5センチにまで伸びた。

 一方、文部科学省の「体力・運動能力調査」によると、体格に合わせて上体起こしや背筋力といった単純な体力は向上したが、50メートル走などの「運動能力」の面での向上はわずか。ボール投げの数値は大きく低下している。ゲームなどの娯楽の多様化、のびのびと体を動かせる空間が少なくなっているという環境面の変化や、運動のできる子、できない子の二極化が進んでいることが背景にあるとされる。

 順天堂大教授(運動生理学)の内藤久士は「平成に入るころから『スポーツで競い合うことや苦手と感じる運動などは別にしなくてもいい』という風潮が広まった」と指摘している。(敬称略)

 夏に迫った2度目の東京五輪。さまざまな変化をもたらした「TOKYO1964」を振り返り、「TOKYO2020」が変える未来を考える。((2)は明日1月14日に掲載します)

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