静岡県東部の拠点都市である沼津市。富士山や愛鷹山を背に駿河湾、千本松原といった自然に恵まれた同市の魅力を引き出し、積極的に情報発信に取り組んでいるのが平田百彩さん(42)だ。近年、同市は人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台になったことで国内ばかりか海外からも注目されている。多数の聖地巡礼者が詰めかけて盛り上がりを見せる中、ブームの立役者でもある平田さんに関連する行事の企画や今後の取り組みなどについて聞いた。(小串文人)
--沼津市の魅力を県内外へ発信する活動などを始めたきっかけは
「20代後半に沼津市に暮らしていたころですが、それまで『沼津には何もない』という声をよく聞いていました。しかし、来てみてそんなことはないことが分かりました。沼津は“風の町”なんです。大瀬崎、牛臥(うしぶせ)海岸など駿河湾から吹く風を受けてのヨットやウインドサーフィンのほか、スキューバダイビングなどに絶好の場所。また、狩野川のように、町の中を一級河川が流れるところは全国的にも珍しいんです。国が平成25年に河川敷の利用を許可したことにより、国と市、地元の商店街が活用方法を検討してきました」
「狩野川も『水害対策のための治水』の方向から『川に親しむ』方向になりました。そこで使用許可をとり、バーベキューとカヤック体験ができる事業を始めました。沼津市で市街地にバーベキューができる場所はないことや駅に近いこと、通年で営業していることなどもあり、旅行を兼ねてのお客さまを含めて首都圏からも訪れていただいています。機材の設置・撤去からゴミの回収まで行い、手ぶらで楽しむことができます。また、狩野川は滝がなく流れが緩やかなため、カヤックの体験では沼津港まで行って帰って来ることもできます」
--人気アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台になった沼津市。大変なブームを巻き起こし、イベントなどを開催する地元・沼津あげつち商店街のまとめ役となり、聖地巡礼者の呼び込みに努められている。具体的な活動と成果は
「地元(沼津市)に『ラブライブ』のプロジェクトが27年に結成されたのですが、この年の末から巡礼が増え始めたんです。この年の沼津駅の乗降客数を調べたところ、年間で15万人増えました。市によれば、大学が撤退するなど乗客の増える要素が少ないとされていて、『ラブライブ』効果が大きかったのだと思います。(私が)所属する沼津あげつち商店街の一部でアニメの声優さんが絵馬を展示した途端に聖地巡礼所者が急増したことで、商店街ではアニメの勉強に傾注していきました。キャラクターのプラモデルの製作やキャラクターの誕生日会、ファンのためのクリスマスパーティーなども企画しています。こうしたイベントに海外からもファンが来るようになりました。ファンに楽しんでもらうための場所や情報提供に力を入れています」