キャリア

芥川賞の初候補になった2人の作家に、文学との向き合い方を聞いてみた (1/2ページ)

 1月15日に受賞作が決まった第162回芥川賞・直木賞。ノミネートされた計10人のうち7人が初候補というフレッシュな顔ぶれだった。文学離れといわれて久しいが、作家たちはどんな思いを抱きながら文学と向き合っているのか。

 人間と書物のバランス

 「いろんな本を読む中で、人生の指針になるものもかなりあり、こういう生き方をしたいという人もたくさん知ることができた。その人たちが書いていたときの気持ちを一番知りたい」。「最高の任務」(群像12月号)で芥川賞初候補となった乗代雄介さんは多量の読書を背景にした知的かつ技巧に満ちた作風で知られる。

 北海道江別市に生まれ、幼少時に家族と首都圏に転居。子供時代から本が好きで、学校の国語の成績は抜群だった。小説執筆を始めたのは法政大在学中。卒業後は塾講師のかたわら個人ブログで短編を創作した。

 高校生のころから、読んだ本で興味を覚えた部分をノートに書き写すことを始め、今もそれを日課にしている。筆写時には「作者が書いていたときに近づくような瞬間がある」と語る。

 今作は丁寧な風景描写が魅力だ。ここ2年ほどは週2、3回近所の公園などに赴き、風景をノートに描写する練習を重ねた。作品舞台の茨城、群馬両県には数十回通った。その風景をバックに、ブッキッシュ(書物偏重)な主人公と家族とのつながりが描かれる。書物の世界は魅力的だが、生きる上では生身の人間との関係は避けられない。それは自身のテーマでもある。「そのバランスをどうとっていくか。そんな小説を書いていけたらな、と思います」(磨井慎吾)

 のりしろ・ゆうすけ 昭和61年、北海道生まれ。法政大卒。平成27年、「十七八より」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。30年、野間文芸新人賞。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus