働き方

新型コロナ、春闘に不透明感 集会自粛で労組意気上がらず

 2020年春闘は、11日の主要企業の集中回答日に向けて労使で大詰めの交渉が続いているが、例年この時期に開催される労働組合の大規模集会が新型コロナウイルスによる肺炎の感染防止のために自粛へ追い込まれている。労組側は、交渉と新型肺炎の影響について「それはそれ、これはこれ」(連合の神津里季生会長)と区別する姿勢を強調しているが、組合員の後押しが感じられない異例の交渉に不透明感も漂う。

 「今年は大阪で決起集会を予定していたが、ご案内の通り中止した」

 流通や外食などの労組が加盟するUAゼンセンの木暮弘書記長は5日の記者会見でこう述べ、決起集会の代わりに、組合員に団結を呼びかける「緊急声明」を発表したことを明らかにした。

 「東日本大震災のときと状況が似ている。緊急的にすべきことを早くやるために、労働条件の交渉はきちんとやらなければならない」とも強調した。

 自動車業界でも、全トヨタ労連が5日に予定していた単組トップら約170人による代表者会議を中止。鶴岡光行会長は記者会見で、「職場レベルの活動が制限されてしまう。組合員隅々まで声を届けるには工夫が必要だ」と悩ましい表情を浮かべた。

 多数の組合員による組織力をアピールできない展開に、各労組は頭をひねる。日産自動車労連は会議を持ち回り形式やテレビ会議に変更して対応。スズキ労連は全国から集まる会議は中止する一方、約20人のコアメンバーによる「中央共闘会議」は開催する予定だ。

 連合も3日、例年この時期に開催する1000人規模の集会に代えて、インターネット上で「デジタル集会」を開催。神津氏は「働く者の活力、人への投資がなければ、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめとする日本の危機を乗り越えられない。底上げ、底支え、格差是正をなんとしても実現していこう」とあいさつし、最後は全員で「みんなの春闘、頑張ろう」とガッツポーズで締めた。

 ただ、実際の交渉では労使双方が出席人数を絞る対応が目立っており、現場の組合員の生の声を伝達できるメンバーも減ることになる。自動車労組幹部は「新型肺炎が蔓延(まんえん)すれば交渉自体難しくなる。健康を守る意味でも仕方ない」と語る。「(経営)基盤の弱いところは大変な状況」(神津氏)でもあり、新型肺炎の影響の拡大は必至だ。

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