書評

『国宝ロストワールド 写真家たちがとらえた文化財の記録』

 ■失われた姿と魅力に息をのむ

 昨年のパリ・ノートルダム大聖堂や、沖縄・首里城の火災は、文化財につきまとう、常にある消失の危機を改めて気づかせた。本書は明治以降、廃仏毀釈(きしゃく)、空襲、火災などで消失した国宝のありし日の姿や魅力、文化財撮影にかけた21人の写真家たちの物語などをまとめた写真単行本。

 焼損し、文化財保護法制定の契機となった法隆寺金堂壁画、腕の一部が欠損した興福寺阿修羅像、戦災で焼失した名古屋城天守(金鯱がない姿)、沖縄戦で失われた首里城正殿などの写真33点を収録。名写真家たちがさまざまな思い、技法で迫った作品には息をのむはずだ。(岡塚章子、金子隆一、説田晃大・著/小学館、1600円+税)

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