社会・その他

警察が街頭パトロール強化、休業狙いの空き巣警戒 外出者への「声かけ」も (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大による政府の緊急事態宣言を受け、警察が夜間の繁華街などでパトロールを強化している。休業中の店舗を狙った空き巣などを警戒する目的だが、自治体側の要請で外出自粛に協力を求める「声かけ」も行う。ただ、声かけに法的根拠があるわけではなく、犯罪の摘発を目的とした「職務質問」との線引きに苦心もうかがわれる。

 繁華街一変、犯罪に警戒

 17日夜。東京・新橋の繁華街を、制服姿の警察官2人が巡回した。マスクを着け、手には警棒。普段は酔客でにぎわう金曜の夜だが、通りのシャッターは軒並み閉まり人影はほとんどない。管轄する警視庁愛宕署幹部は「いつもの街とは一変している」と警戒感を強める。

 「客引き行為はだめですよ」。新宿・歌舞伎町でも連日のように、巡回中の警察車両の拡声器から注意が飛んでいる。

 歌舞伎町では、都の外出自粛要請後に客足は減ったものの、「キャッチ」と呼ばれる違法な客引き行為は続く。飲食店は都の休業要請の対象外だが、午後8時までの短縮営業を求められた。休業した店舗も多いが、ガールズバーの客引きをしていた男性は「翌朝まで開けている店も少なくない」と話す。

 ただ、人影は各段に減り都内各地の繁華街の様相は一変。休業中の店舗は窃盗被害に遭いやすく、大阪府の繁華街では酒や釣り銭などを狙った空き巣が多発。神奈川県でも金庫破りや侵入盗が増加しているといい、首都を預かる警視庁も警戒感を強める。

 職務質問とは一線

 7都府県を対象とした緊急事態宣言が出された7日、警察庁は都道府県警に対し、通常の法令の枠内で必要に応じたパトロールの実施を指示。防犯活動に加え、各知事からの要請などを踏まえ「外出自粛要請にご協力ください」との声かけも行うようになった。

 声かけと職務質問は異なる。後者は警察官職務執行法に基づき、罪を犯したり犯そうとしたりしている人などに限定される。緊急事態宣言に伴う外出自粛要請に強制力はなく、警察権限を拡大する規定もない。

 このため、警視庁幹部は「外出の理由を尋ねたり、帰宅を求めたりすることは職務質問の性格を帯びかねないため、慎んでいる」と説明。警戒中の警察官が手に持つ警棒も「パトロールには危険も伴うため、内規で定められたルールで威圧する意図はない」(警察幹部)と話す。

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