働き方

コロナによる労務問題どう解決? 専門家がQ&Aサイト開設

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って起きた労働現場での疑問や課題について、弁護士や産業医といった専門家が知見を生かして作成したウェブサイト「新型コロナ労務Q&A」が開設された。労働者側と企業側それぞれの問題について横断的に記載されているのが特徴だ。利用者からは「具体的でわかりやすい」などの感想が寄せられており、第2波への警戒が続く中で開設者はより使いやすいようにと工夫を重ねている。(小泉一敏)

 《新型コロナに業務で感染した場合、労災認定されるのか》

 《業務命令でマスク着用とした場合に、従わなかったら処分できるのか》

 ウェブサイトには、こうした労務問題11項目について回答と解説が掲載されており、項目は、休業手当や在宅勤務者の健康維持などにも及ぶ。

 例えば、業務で感染した場合の労災認定については「感染経路が特定され、業務または通勤との関連性が認められる場合、労災の対象となり得る」。マスク着用の業務命令が出たケースには、「再三の必要性を説明したのにもかかわらず、着用をしなければ、懲戒処分の可能性がある」としている。

 Q&Aは、今年11月の設立へ準備を進めている「日本産業保健法学会」の発起人らが作成したホームページ(HP)内に開設。労働者向けと企業向けに分かれている厚生労働省のQ&Aとは異なり、労使双方の視点から情報を提供している。同学会の発起人で近畿大の三柴丈典教授(産業保健法学)は「労使どちら側かではなく、中立な立場でみることで、実態に即した内容になっているのが特徴」と説明する。

 三柴氏によると、これまでは、問題が起こってから裁判でどう裁くかを探るケースが多く、「トラブルの未然防止といった観点が薄く、『予防』という点では注目されてこなかった」。設立される学会では、さまざまな専門家からの知見を得ることで、問題の解決だけでなく予防にも役立てていくとしている。

 開設した5月上旬からの1カ月間で約5万のアクセスがあった。今後も随時、問題の項目を増やすなど加筆する予定で、三柴氏は「新型コロナによる労働現場への影響は今後とも続く。問題解決や問題発生の防止に向け参考にしてもらえたら」と話している。

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