働き方新時代

「テレワーク基本」へ進む変革 勤務時間評価から成果型へ

 国内企業 定期代廃止、在宅手当など制度化

 新型コロナウイルス感染防止や政府の緊急事態宣言などで、緊急的に導入された在宅勤務やテレワークなどの新しい働き方を、恒常的な制度として定着させる動きが各企業で始まっている。テレワークによって毎日出社する必要がなくなるため、通勤定期代に代えて、自宅での作業環境を整えるための補助金や手当を支給する動きも広がっている。オフィススペースの削減に乗り出す企業も出始め、社員の出勤を前提とした経営は大きく変わろうとしている。

 テレワーク恒久化の流れを作ったのは、中西宏明・経団連会長の出身母体である日立製作所だ。政府が緊急事態宣言を解除した翌日の5月26日に、「在宅勤務を変革のドライバーとする働き方改革」方針を表明。コロナ環境下での生活のニューノーマル(新常態)を見据えた新制度を打ち出した。

 日立では、緊急事態宣言時には、オフィス勤務者を中心に約7割が在宅勤務やテレワークを実施した。新制度での出社は週2~3回のペースとし、それ以外は在宅勤務を前提にするテレワークとリアルの出社を組み合わせる新しい形態とする。同時に在宅勤務に必要な費用などとして月額3000円の手当や、コロナへの感染リスクが高い環境での業務に対して、1日当たり最大1000円の手当支給を制度化する。経団連会長会社である日立がテレワークを前提とした勤務形態を表明した影響は大きく、“日立方式”をひな型に変革を進める企業が相次いだ。

 カルビー、ヤフーは通勤用の定期代支給を廃止し、代わりに出社時の交通費を実費で支給する方式に切り替える。カルビーでは自宅で業務をするための環境整備の費用を補助する一時金も新設。ヤフーは「どこでもオフィス手当」と「通信費補助」で、最大月額7000円を支給する。自宅を職場の一部と位置付けることを手当でも明確に示した格好だ。

 勤務時間評価から成果型へ

 富士通は今月6日、経営をデジタル化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と、新しい働き方改革を連携させる新制度「ワーク・ライフ・シフト」を打ち出した。約8万人の国内グループ社員はテレワークを基本とする。

 全社員が一斉に出社することがなくなるため、オフィスの在り方も見直す。2022年度末までに、グループ会社を含めた国内オフィス面積を半減。一方で全国のエリアごとに、最先端ITシステムの実証を行ったり、ショーケースの機能などを備えた「中核オフィス」や「サテライトオフィス」を拡充し、社員が働く場所を選べるようにする。

 7月からリモートワークを基本の勤務形態としたキリンホールディングスでは、働き方だけでなく、社員が働きがいを実感できる改革を進める。その代表が副業の解禁だ。副業によって社外での知見や多様な価値観を育て、社員の成長を促したい考えだ。

 こうした新しい働き方に企業が取り組み始めた中で、課題として浮上しているのが労働評価の手法だ。

 日本ではこれまで、勤務時間をベースに評価する企業が多かったため、勤務時間を管理しにくいテレワークが進めば評価が難しくなる。

 そこで注目されているのが、成果で業務を評価する「ジョブ型」といわれる雇用形態だ。会社が求める成果を明確にし、その達成度合いに応じて評価するジョブ型はテレワークと相性がいいとされる。

 ただ、上司から部下への指示の手法など、長年にわたって築かれた企業風土を変えることにもつながるだけに、新たな働き方を定着させるには経営者の覚悟も問われることになる。(平尾孝)

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