現場の風

立教大社会デザイン研究所 DXと社会デザイン融合で革新を

 立教大社会デザイン研究所長・中村陽一さんに聞く

 --新型コロナウイルス感染拡大で分かったことは

 「多くの企業がリモートワークを導入したが、通勤は不要と気づき、無駄な会議が多いことも分かった。しかし、全てがオンラインで済むわけではなく、コミュニケーションのありよう、フェイス・ツー・フェイスの重要性に改めて気づかされた。また家族や家、安定収入のある人とない人の格差が拡大、無視できなくなった」

 --解決策は

 「コロナ危機で企業業績の悪化は避けられないが、それでも伸ばしている企業がある。ピンチをチャンスに変えるときだ。そのためにはデジタル技術を生かしてビジネスモデルを変革するDXと、社会課題を解決する社会デザインの融合が重要になる。既存の価値観や枠組みを根底から覆すようなイノベーションをもたらすからで、新しい産業、社会が起きると考えている」

 --国連の持続可能な開発目標(SDGs)が企業に与えた影響も無視できない

 「SDGsを契機に企業と社会のコラボが始まった。ESG(環境・社会・企業統治)投資の流れも加わり、社会課題の解決に本業で関わっていかないと持続的成長を保てないと企業は考えるようになった。今や生き残りに不可欠な要素といえる。その一環として立教大社会デザイン研究所はJSOLと共創し社会デザイン・ビジネスラボを昨年12月に立ち上げ、社会課題の解決に取り組みながら新規ビジネスを創出するプロジェクトを始めた」

 --社会デザイナーの声も紹介している

 「ニッポン放送で毎週土曜日午前、『おしゃべりラボ~しあわせSocial Design~』でパーソナリティーを務めている。自ら選んだ社会起業家をゲストとして迎え、社会を幸せなものへ変えていく社会デザインの魅力を伝えている」

【プロフィル】中村陽一

 なかむら・よういち 一橋大社会学部卒。編集者などを経て1989年消費社会研究センター設立し代表。東京大社会情報研究所客員助教授などを経て2002年立教大大学院21世紀社会デザイン研究科教授、10年社会デザイン研究所長。石川県出身。

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