社会・その他

保釈条件にも違反か 裁判所判断、ゴーン事件に続き「裏目」に

 IR汚職事件の贈賄側に裁判で虚偽の証言をするよう依頼し、現金供与を申し込んだとして再び逮捕された衆院議員、秋元司容疑者(48)は、収賄罪で起訴された後の今年2月から保釈中だった。裁判所が認めた保釈条件では、事件関係者に弁護人を介さずに接触することを禁じており、贈賄側の紺野昌彦被告(48)への支援者を通じた接触が認定されると、条件違反になる。保釈がなければ事件が起きなかった可能性もあり、裁判所の判断に批判が集まりそうだ。

 秋元容疑者は2月3日に収賄罪で追起訴されると、当時の弁護人が保釈を申請。総額約760万円相当の賄賂を受け取ったとする起訴内容を全面否認していたが、地裁は同月10日に保釈を認めた。否認する被告の早期保釈は異例ともいえ、検察側からは批判の声が多く聞かれた。

 背景には裁判所が近年、保釈を積極的に認める傾向を強めていることが挙げられる。全国の地裁、簡裁が保釈を許可する割合(保釈率)は平成15年の11・4%から30年には32・1%と3倍近くに増加している。

 秋元容疑者は認定された賄賂のうち、現金300万円は授受自体を否定している。検察側は「罪証隠滅の恐れがある」と、東京地裁の決定を不服として準抗告したが、棄却された。国民の負託を受けた国会議員という立場で、国会が当時開会中だったことなども考慮され、地裁は早期保釈を決定したとみられる。

 保釈された秋元容疑者は記者会見し、無罪を主張した。内容は「現金300万円は受け取っていない。贈賄側に会った記憶もない」「(賄賂と認定された)旅行費は秘書に支払いを指示した」といった事件の中身に触れるもので、当時、検察幹部は「口裏合わせができてしまう」と批判した。

 関係者によると、秋元容疑者の保釈条件は、紺野被告ら贈賄側や、贈賄側が現金を配ったとされる他の国会議員ら事件関係者約80人以上との直接、もしくは弁護人を介さない接触の禁止のほか、指定された携帯電話以外の通信機器の入手・使用禁止などがある。

 秋元容疑者は今回、紺野被告の証言を覆す依頼に関わったとされるが、「最も接触してはいけない相手への罪証隠滅行為」(検察幹部)といえる。

 特捜部が手がけた大型事件をめぐっては、昨年末に日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告が保釈中にレバノンに逃亡しており、裁判所の判断が再び裏目に出た形だ。ある検察幹部は「保釈率の上昇は数字だけが一人歩きし、裁判所が事件の個別具体的な状況を十分に検討していないことが明らかになった」と憤る。

 常磐大の諸沢英道元学長(刑事法)は「贈賄側が起訴内容を認めており、秋元容疑者が有罪になる可能性は高く、実刑判決も見込まれる。起訴後に勾留された日数は刑期に算入されるため、裁判所が保釈を認めなければならない特別な状況はなかった」とした上で、「『人質司法』という批判に幻惑されて裁判所が勾留を避けようとするのは間違いで、個別の事件を是々非々で慎重に判断すべきだ」としている。

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