働き方

船員の働き方改革へ法改正 政府、労働や健康管理を強化

 政府が船員の働き方改革を進めるため、健康対策や労働時間の管理を強化する方針を固めたことが24日までに分かった。産業医の選任や勤務管理を事業主の責任と明確化することが柱。国土交通省が最終調整して月内に原案をまとめ、早ければ来年の通常国会に船員法など関連法改正案を提出する。

 海運業界は高齢化や人材確保の課題を抱えており、労働環境を改善して若手や女性も定着しやすくする狙いがある。職住一体の船上は、陸とは異なる残業時間の上限規制や労務管理のルールがあり、安倍政権の働き方改革の適用外だった。法改正で陸と同等の環境に近づけることを目指す。

 国交省によると、2019年10月時点の船員数は約6万4000人。うち、国内の港を行き来する船(内航船)の船員が最多で約2万8000人。漁船が1万7000人。内航船の月の総労働時間は約238時間と、陸の一般的な労働者(約170時間)や運輸業・郵便業(約188時間)より長い。休日が取りにくい連続労働が背景という。

 厳しい運航スケジュールや乗船中の緊張感から、船員は陸の労働者と比べて全年代で病気の発生率が高く、強いストレスを感じる人の割合も高いという。30日以上の長期休業をした人の34%が生活習慣病やがんだったとの結果も出ている。法改正では、50人以上の事業所に産業医の選任と、働く人の心理的負荷を調べるストレスチェック実施や長時間労働をした人への面接指導を求める。いずれも陸では義務化しているが、船員は事業主の任意だった。

 この他、防災訓練や当直引き継ぎなどは労働時間外とされて残業代が支払われていなかったが、見直す。勤務記録は健診結果とともに陸でも保管して外部のチェックを受けられるようにする。

 船員の公的医療保険である船員保険の加入状況は長崎県が約5500人、北海道は約4000人、宮城県は約3500人。海に関わる産業が多い地域ほど船員が多く、法改正の影響も広がりそうだ。

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【用語解説】働き方改革

 安倍政権の目玉政策で雇用・労働政策の見直しの総称。残業時間に初めて法的強制力のある上限規制を設け、非正規労働者の待遇を改善する「同一労働同一賃金」も導入した。パワハラ対策や女性活躍の推進、病気の治療と仕事の両立、高齢者の就業促進など幅広い対策も盛り込んでいる。労働基準法などの改正を一括した「働き方改革関連法」が2018年6月成立、順次施行している。

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