主張

コロナ失業の増加 助成金特例の延長を急げ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用情勢の悪化が本格化しつつある。厚生労働省によると、コロナ禍に関連した解雇や雇い止めは、見込みを含めて今月14日時点で4万5650人にのぼり、その前の週より約1500人増加した。

 今年春から経営環境が急激に悪化した旅行・飲食業に加え、最近は製造業でも収益悪化が目立ち始めている。政府・与党は秋以降に失業者が急増する厳しい事態を想定しておかなければならない。

 まずは9月末に迫った雇用調整助成金の特例期限の延長を急ぐ必要がある。そのうえで物流など人手不足に直面する業界に対し、人員余剰が生じている業界からの労働移動を促す就労支援などに取り組んでもらいたい。

 厚労省は全国のハローワークや労働局に相談が寄せられた事業者の集計をもとにコロナ禍関連の解雇や雇い止めの件数をまとめている。それによると、6月初旬に初めて2万人を突破した後も増加傾向に歯止めがかかっていない。

 7月に入ってから全国的に感染者が再び増加するなど、コロナ禍の収束がさらに見通しにくくなっている。中小・中堅企業の休業や倒産の増加に加え、大手企業でも早期退職を募集する動きなどが出ている。雇用動向の急速な悪化に警戒が欠かせない。

 懸念するのは、企業が従業員を解雇せず、休業にとどめた場合の休業手当を支援する雇用調整助成金の特例措置を延長する決定が遅れていることだ。6月に支給上限額を引き上げるなどしたが、延長する場合の財源をめぐって政府内の調整が難航しているためだ。

 国内の休業者は6月末現在で200万人を大きく超えている。失業者の急増を防ぐためにも政府内の調整に時間を空費している暇はない。必要に応じて予備費などで財政措置を講じてもらいたい。

 ただし、雇用調整助成金を通じて当面の失業者の急増は抑えられても、コロナ禍で企業が事業を継続できなくなれば、結果的に失業者の増加は避けられない。そうした事態に備えて円滑な労働移動を促す対策も必要である。

 すでに宿泊・観光業に携わっていた人材を人手不足に悩む物流や小売業などに派遣する動きも始まっている。産業界全体でこうした取り組みを広げ、政府も積極的に後押しすべきだ。

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