社会・その他

露スポーツ評論家が見る東京五輪「スポーツか安全か、どちらが選ばれるか明白だ」

 ロシアの著名スポーツ評論家、アレクセイ・アブドヒン氏(38)が来年開催予定の東京五輪について産経新聞のインタビューに応じ、「新型コロナウイルスの流行が続く限り、開催は困難」との見通しを示した。主な一問一答は次の通り。(モスクワ 小野田雄一)

 --東京五輪はどのような形式で開催されると考えるか

 「五輪とは単なるスポーツではなく、文化的、精神的なイベントだ。たった数週間のイベントでありながら、世界中の人々を結び付け、調和の雰囲気を作り出す。もちろん新型コロナウイルスという新しい現実下で、問題は避けられない。どのような制限措置の下で五輪を開催するのか、それとも最終的に開催を断念するのかということが問題となる。開催に向けたあらゆるチャンスを模索すべきだが、大局的に見れば、いかなる開催方法であっても見通しは明るくない」

 「コロナの流行が続いた場合、仮に無観客での開催であっても、選手・審判員・スタッフが200カ国から訪れる。大変な人・モノの移動だ。日本の衛生対策がどれほど理想的であっても、完全ではありえない。世界はスポーツか安全かを選択することになる。どちらが選ばれるか明白だ」

 --ドーピング問題を抱えるロシア選手は五輪に参加できると考えるか

 「薬物検査データを改竄(かいざん)したロシアは資格が停止されるだろうが、露選手は個人資格で参加するだろう。国際オリンピック委員会(IOC)は露選手の排除が、ロシアだけでなく、有力選手の不在や競争の低下などでIOCにとっても打撃になると理解している」

 --露スポーツ省や露オリンピック委員会(ROC)が、自国選手を個人資格ではなく国家代表として五輪に参加させたいと述べているのはなぜか

 「スポーツ省やROCは単なるスポーツ機関ではなく、政治的機関でもあるためだ。彼らの言葉には、常に2つの対外的な側面がある。つまり、国民とともにプーチン大統領にも向けられている。露スポーツにとって(薬物問題で)最も困難だったリオデジャネイロ五輪や平昌五輪を控えた時期でさえ、スポーツ官僚から聞こえてきたのは『五輪に問題なく参加できる』という楽観的な言葉だけだった。彼らの言葉のほとんど全ては現実からかけ離れていた。東京五輪に関しても、スポーツ官僚は、ロシアの選手を国旗の下で参加させられるいかなる保証も持っていないだろう」

【プロフィル】アレクセイ・アブドヒン氏 ロシアの著名スポーツ評論家の一人。五輪やロシア政治とスポーツ事情などをテーマに、露主要スポーツサイト「スポーツ・RU」などに積極的に寄稿している。38歳。

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