書評

『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋』

 □斎藤環、與那覇潤・著

 ■「共感」を重視して現代を診断

 「ヤンキー」論などの社会時評で知られる精神科医と、鬱に苦しんだ経験を持つ歴史学者が、平成から令和にかけての日本社会を縦横に論じた対談だ。議論の対象は鬱病や発達障害などの心の病から始まり、「右傾化」の実態やAI(人工知能)ブームの背景、流行のオンラインサロンの構造まで、刺激的に広がっていく。

 鍵となるのは、異なる価値観を持つ他者に対し、「同意」ではなく「共感」を重視する部分。そこからインテリから否定されがちな「ヤンキー文化」の意外な効用にも目が向けられる。現代を診断するアイデアに満ちた一冊。(新潮選書、1450円+税)

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