書評

『「地方」と「努力」の現代史 アイドルホースと戦後日本』石岡学・著

 ■人気競走馬通し深層心理解く

 漫画雑誌の表紙を飾ったハイセイコー、縫いぐるみも爆発的にヒットしたオグリキャップ、「負け組の星」として注目されたハルウララ…。昭和から平成にかけて国民的人気を博した3頭の競走馬を通して、戦後日本社会の精神を読み解くユニークな論考だ。

 これらのアイドルホースをめぐる新聞や雑誌の言説を丹念に分析した著者は、当時の国民が心の深層で共有していた郷愁や願望を浮き彫りにしていく。高度経済成長期からバブル崩壊を経て「失われた20年」へ。時代の移り変わりのなかで変わったこと、そして変わらなかったことが鮮明に見えてくる。(青土社、2400円+税)

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