働き方

米失業率、予想上回る改善 就業鈍り不安も

 【ワシントン=塩原永久】米労働省が4日発表した8月の雇用統計は、失業率が8・4%と市場の予測を上回る改善をみせた。ただ、就業者増加の勢いが鈍るなど先行きに不安を残す内容だ。トランプ大統領は「史上最速の雇用回復だ」と胸を張ったが、企業による大規模解雇といった失業増の「第2波」懸念も拭えない。労働市場の改善を大統領選の追い風にできるか重要な局面を迎えている。

 失業率は市場予想の9・8%を下回り、7月の10・2%から1・8ポイント下げた。「前向きな驚き」(エコノミスト)との声があがる。

 景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は137万1千人増えた。ただ、増加ペースは緩やかになり、一時的な解雇ではない「恒久的な失業」が53万人増えて計340万人となった。統計には強気と弱気のデータが交錯している。

 大統領選では「雇用」が重要な争点となっている。経済運営の手腕を訴えるトランプ氏は4日の記者会見で、対抗馬のバイデン前副大統領が仕えたオバマ政権は、2008年の金融危機後に「最弱の景気回復だった」とこき下ろした。

 失業率は4カ月連続で改善し、トランプ氏には追い風だ。新型コロナウイルス流行を軽視した初期対応で批判にさらされたが、有権者が景気回復を評価すれば十分に挽回できる。接戦州の中西部「ラストベルト(さびついた工業地帯)」では、失業率が一時24%に達したミシガン州や、18%だったオハイオ州が、7月にともに9%を下回った。

 ただ、航空大手が相次ぎ1万人超の人員削減計画を示すなど、新たな大量失業の恐れがある。黒人の失業率は8月に13・0%と、7・3%まで下げた白人と差がある。格差是正を訴えるバイデン氏は支持を呼びかけやすく、黒人らの有色人種の票が同氏に大挙して流れるのを阻止したいトランプ氏には不安材料となる。

 バイデン氏は4日に演説し、「トップはよくなったが、中低所得層の状況は悪化している」と述べ、雇用改善に偏りがあると指摘。トランプ氏は株価ばかり気にかけていると批判した。

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