書評

『夏の迷い子』泉麻人・著 還暦を過ぎた男たちの7短編

 出版社を定年退職後、1人暮らしの吉井は高齢者向け住宅に住む母親を訪ねる際、昔の写真や絵日記を持参していた。回想が認知症にも効果があると聞いたからだが、ある日、絵日記を見た母親の一言から吉井は幼い日の奇妙な出来事を思い出す(表題作)。

 前回の東京五輪聖火ランナー、草創期のテレビ番組、ラジオの深夜放送、バブル時代のテレホンカード、狂奔したディスコ…。60歳を過ぎた男たちが通ってきた時代のさまざまなアイテムからよみがえるメモリーと新たに始まる物語全7編の短編集。ノスタルジックな表紙写真も胸にしみる。(中央公論新社、1600円+税)

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