主張

雇用助成金の特例 安全網の機能を継続せよ

 新型コロナウイルスの感染拡大で拡充された雇用調整助成金の特例措置について、厚生労働省は年末までとしてきた期限を来年2月末まで延長すると発表した。

 社員の雇用を守る企業を支援する雇用調整助成金は、政府が今年4月に緊急事態宣言を発令したのに伴い、中小企業向けに支給上限額の引き上げなどの特例措置を設けた。

 この特例は2回にわたって延長され、厚労省は来年から助成水準を縮小するとしていた。だが、コロナ禍が再び拡大する様相をみせてきたため、雇用情勢の急激な悪化に備えて延長を決めた。当然の判断である。

 気になるのは、期限の延長が2カ月にとどまったことだ。これでは中小企業経営者が制度の先行きが不透明だとして、助成金の利用をためらいかねない。雇用の安全網として十分に機能させることが重要である。

 中小企業に対する助成額の日額上限を従来の2倍近い最大1万5千円に引き上げたほか、助成率も9割から10割に高めた。従業員の雇用維持に努める企業を後押しすることで、雇用情勢の悪化を食い止めるのが狙いだ。

 今月に入ってからは全国で感染者が再び増加傾向を示しており、飲食店や宿泊業などを取り巻く経営環境も厳しさを増している。特例措置を確実に続けるため、今年度第3次補正予算案などで必要な財源の確保に努めてほしい。

 もともと政府内では、助成金の特例延長に対して慎重論が強かった。手厚い支援を実施することによって、業績が厳しい産業が抱える余剰人員を、人手不足に直面する業種などへ労働移動することを妨げるとの見方があるからだ。

 田村憲久厚労相も来年3月以降の助成金については「休業や失業の状況を見ながら、急激に悪化しなければ段階的に戻していく」と述べた。

 だが、新型コロナとの戦いは長期戦になることが見込まれ、雇用情勢に楽観は許されない。完全失業率はまだ高い水準にはないが、さらなる悪化に備え、助成金などの活用で雇用を維持している企業に対する後押しが欠かせない。

 産業界では他社への出向で雇用を維持する企業の取り組みも目立ち始めている。そうした企業に対しても助成金の特例を積極的に適用することを検討したい。

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