働き方

子育てに家族の反対も 新型コロナ感染拡大、元看護師の復職にも壁 

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、各地の医療機関で看護師不足が深刻だ。そこで期待されているのが、資格を持ちながら離職した元看護師らの復職。重症病床の逼迫(ひっぱく)が続く大阪では、10月末までに約600人が復職を果たした。一方、感染リスクへの警戒や家族の事情などから、要請を断る人もいるほか、復職の意思があっても勤務場所などの調整で難航するケースもある。関係機関は「短期間の復職でも協力を」と呼びかけている。

 「医療現場はどこもマンパワーが足りない。先が見えない緊張感が続いている」

 大阪府内の大学病院に勤務する看護師の女性(40)はこう吐露した。感染の「第3波」到来で、看護の質・量ともに負担が増えている実情がある。看護師は「コロナ患者の受け入れが増えれば、院内の各病棟から応援要員を出すことになる。人員が足りない中、コロナ以外の患者や急変対応にも気が抜けない」と訴える。

 医療機関と看護師のマッチングを担う大阪府ナースセンター(大阪市城東区)によると、今年10月末までに、呼びかけに応じた元看護師621人が復職したが、人材不足は解消されていない。感染拡大が顕著になった11月、センターは府内の医療機関513施設に求人ニーズを調査。約100の施設が、数人の看護師が「必要」と回答した。

 センターは11月以降、離職者ら計約5千人に改めて電話で復職を要請している。だが、「今すぐには働けない」「コロナ収束後に復職したい」といった理由から、断る人が大半。復職の意思があっても、育児や介護などの事情から通勤エリアや勤務時間も考慮する必要があるケースもあり、マッチングは容易ではないという。

 「子育て中や家族の反対で、コロナ対応は難しいという方は多い」。センターの高丸賀子(よしこ)所長はこう話し、「コロナ対応以外の短期間の復職でも、協力を求めたいのが現状だ」と明かした。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus