働き方

ANA、JAL、JTB…超人気企業の採用中止は「就職氷河期」の前触れである (3/3ページ)

 就職内定率の下げ幅はリーマン直後に次ぐ冷え込み

 文部科学、厚生労働両省による2021年3月卒業予定の大学生の10月1日時点での就職内定率は69.8%で、前年同期を7.0ポイント下回った。「リーマン・ショック」直後の2009年調査(前年比7.4ポイント減)に次ぐ大きな下げ幅で、長期にわたって続いた就職に学生側が有利な「売り手市場」は終焉を迎え、大きな節目を迎えることだけは間違いない。

 新型コロナが収束に向かう見通しが立たない中で、航空、旅行に加えて、内需型の産業に雇用の痛みは着実に広がってきている。感染防止のため、移動や会食の自粛が続いている。このため鉄道や外食の疲弊度は半端でない。

 大量採用を続けてきた東日本旅客鉄道(JR東日本)は2021年3月期連結決算で本業の利益を示す営業利益、最終利益とも民営化後初の赤字に転落する見通しで、新卒採用は抑制せざるを得ない。小売業でも百貨店はコロナ禍でインバウンド需要が消滅した上、対面販売を主体とするため打撃も深刻で、今後、新卒採用に反映されることは十二分に予想される。

 頼みのメガバンクはすでに雇用の受け皿機能を喪失

 コロナ禍の影響を抜きにしても、毎年1000人を超える大量採用で鳴らしてきた3メガバンクは、マイナス金利下での収益低下からコロナ禍前からすでに新卒採用の抑制を打ち出してきていた。そのため、学生からの就職人気ランキングも急落し、雇用の受け皿としての機能はもはや失っている。

 半面、コロナ禍によって勢いを増すデジタル化の流れや次世代通信規格「5G」、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応を捉えて、デジタル関連企業で新卒採用を増やす動きは、一定の受け皿になる。

 しかし、「コロナ禍不況」が長引くようなら、新卒採用を抑え込む流れは、より幅広い業種で加速せざるを得ない。

 こうした状況に対して、「GoToトラベル」「GoToイート」といった「GoToキャンペーン」の需要喚起策をとり続け、感染拡大阻止より経済を優先してきたとみられている菅政権は、「第2の就職氷河期世代は作らない」(加藤勝信官房長官)とする。だが、現実には効果的な施策を打ち出せていない。

 結局は経団連、経済同友会、日本商工会議所をはじめとする経済団体への要請を通じて、民間の努力に期待するより打つ手はない。このままでは、政府がいかに否定しようとも、「就職氷河期の再来」は避けられないだろう。

 (経済ジャーナリスト 水月 仁史)(PRESIDENT Online)

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