フリーランスの進路相談室

「2025まで働けますか?」 悩めるフリーランスに伝えたい、脱・自己責任のすすめ (3/4ページ)

Workship MAGAZINE
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■「インボイス制度」はフリーランスいじめじゃない

山中:そういえば最近、フリーランス仲間で「インボイス制度」が話題になります。2023年10月1日から「インボイス制度」が導入されると、免税事業者である多くのフリーランスは免税事業者でいられなくなってしまう可能性がある。「フリーランスいじめ」みたいな制度じゃないかと。

平田:私の考えでは、「インボイス制度」そのものは悪いものじゃないと思っています。そもそも消費税を取引相手に請求して、それを正しく納めることは、課税事業者からすると当たり前の話です。むしろ免税事業者でいられることがラッキーだと思った方がいいんじゃないかな、と。なぜインボイス制度が必要かというと、軽減税率を導入したから。ですが、軽減税率を導入している国では「インボイス制度」は当たり前のものなんです。

山中:なるほど。

平田:もし免税事業者だったフリーランスの方が「益税(※3)」、つまり取引先から支払われた消費税分の利益がないと食べていけない、というのであれば、それはそもそもその報酬の金額が間違っている。むしろ今までは、「益税」があるからこそ、「どうせ消費税を払ったって納めないんだから、内税でいいですよね?」と、発注側による消費税の買いたたきが横行してたのも事実ですから。

※3 益税とは、中小・零細企業の負担を軽くするために導入された特例により、消費者が払った消費税が国や自治体に納税されないまま企業の手元に残ることを指す

山中:報酬が低いことのほうが問題だ、と。きちんと交渉することで、自分がのぞむだけの報酬をもらえるようにすることが必要なわけですね。

平田:そうです。これを機会に、フリーランスが正当な報酬と消費税をもらえる社会にしていきたいですよね。

あと、私がフリーランスが税金を納めた方がいいと思っているもうひとつの理由が、セーフティネットの整備につながるからです。フリーランスも税金を正しく請求して正しく納めるからこそ、「そのぶん社会保障もちゃんとしてくださいね」という声を国に聞いてもらいやすくなるわけです。

山中:そうか。「税金を納めるのはいやです。でも、セーフティネットは整備してくださいね」だと、説得力がないですもんね。

■フリーランスは「専門スキル」と「間接スキル」を高めることが必要

山中:フリーランスを取りまく制度や仕組みについて、だんだんとわかってきました。必ずしも「フリーランス=自己責任」ではないんですね。

平田:たしかにフリーランスはすべて「自己責任」だと思う必要はないけれど、私はフリーランスには「自己研鑽」が求められると思っています。

山中:「自己責任」よりも「自己研鑽」?

平田:そうです。ライフリスクに対してはセーフティネットを活用し、個人にかかる負担を分散させる。一方で、研修やマネージャーからのフィードバックがある会社員と比べて、自分のスキルを自分で上げていくことが欠かせません。とくにフリーランスとして食べていくには、専門スキルと間接スキルの両方が必要です。

山中:「専門スキル」と「間接スキル」?

平田:「専門スキル」は、特定の職域に関する専門知識やスキルのことです。たとえば山中さんみたいなメディアのお仕事をしている方であれば、最近のメディアをめぐる動向や文章力など、環境変化や技術革新に合わせて自らをアップデートし続けることが求められますよね。

一方、「間接スキル」は、対価をもらうための基盤となるスキル。たとえば経理や法務の知識、クライアントへの提案・交渉スキル、コミュニケーションスキルなどを指します。 フリーランスは「一人経営者」でもあるので、間接スキルを身につけることで身を守り、事業を成長させることが必要なんです。

山中:「専門スキル」については意識して身につけていますが、「間接スキル」についてはあまり意識していなかったかもしれません。

平田:「間接スキル」は大事ですよ。たとえば、クライアントへの提案・交渉スキル。フリーランスのなかには、ただ言われたことをこなすだけになってしまい、なかなか自分のバリューが発揮できず、結果として報酬も上がらない……というサイクルに陥ってしまう方もいます。そうならないためにも、たとえば「この記事はもっとこういう視点で書きたいんだ」とか、「ここはこうした方がもっとよくなるはず」とか、第三者だから言えることをきちんと伝える。そして自分にしかない価値を提供し、報酬についてもきちんと論理的に交渉することが必要です。

山中:同じ「専門スキル」を持っていても、コミュニケーション力のような「間接スキル」によって提供価値も報酬も変わってくるんですね。

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